割り切ってるつもり (1/4)
部室を飛び出したあたしは真っ直ぐに家に帰り、なんとも言えないモヤモヤした気分で早めの夕飯を作ってるとインターフォンが鳴った。
正直、誰にも会いたくなかったので居留守を使うにしろ誰なのかを確認する為に珍しくモニターを確認するとそこには早苗が立っていた。
うん、相手が早苗なら仕方がない。
ゆっくりと玄関に向かい、ドアを開けると早苗が少し話せる?と頭を傾げたのですぐに頷き中へと入れた。
「夕飯作ってたの?」
「おん、早苗も食べてく?めっちゃ手抜きだけど」
「えぇ、手伝うわ」
「さんきゅー」
そして2人でキッチンに立ちながら適当に夕飯を作る。それにしても早苗があたしにわざわざ会いに来るって事は、アレかな…毛利さんの事かな。
それかなんか毛利さん達が用事とかなんとか言ってたやつについてかなぁ。あたし、詳しく聞いてなかったし。
そんな事を思いつつ手を動かしていると早苗がゆっくりとあたしの方を向いた。
「…今日は、ビックリしたわね。まさか毛利さんが来るなんてね」
「あぁ…ね。まぁ、あの人は前からよくわからない人だし」
「…まぁ、そうね。でもやっぱり複雑よね。…毛利さんの事許したの?」
「ん、怒ってた事を忘れてた訳じゃないけど…なんか顔見たら怒るのもバカみたいだなぁって」
「そう…。でも素直に会えて嬉しいって気持ちでもないって感じ?」
「嬉しくないって言ったら嘘になるけど…なんかよくわからない。そういえば、毛利さんって中学の時テニス部だったんだってね」
やっぱり毛利さんの話かぁ。なんて思いながら、それでも早苗は毛利さんを知ってるから全然気にならない。むしろ、早苗にしては仲が良かった先輩だと思うし。
そしてあたしの言葉に早苗が毛利さんに聞いたの?とあたしの顔色を伺うように頭を傾げた。
多分、早苗は知ってたんだろうなぁ。まぁ、あたしが毛利さん先輩が部活に入ってるのは知ってたけど気にしてなかったからね。
それにあたしが運動部が嫌いだったの毛利さんは知ってたから、あたしに気を使ってたんだろうな。あの時は、正直こんなに部活をサボってるくらいだからそんな活発な部活じゃないと思ってたし。
「毛利さん、なんか言ってた?」
「いえ、璃亜が出て行ってからすぐに帰ったわよ。元は、テニス部に資料を届けに来ただけみたいだから」
「あ、その資料ってなんだったの?」
「来月からの特別強化合宿についての資料よ。璃亜には、私から説明しようと思って」
「おー、わざわざありがと」
「ふふ、いいわよ今更。それとわかっているとは思うけど、その合宿に毛利さんもいるわよ」
「まぁ、だろうね」
そんな会話をしながら夕飯の準備が終わり、早苗がテーブルに適当に出来たものを並べる。
そしてあたしは、あぁまた早苗が味付けしたのは薄味なのかなぁとか思いながらご飯を運んだ。
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