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それにしても…そうなるとこの特別強化合宿に璃亜を連れて行きたくないって思うんは毛利がいるのがわかっとるからじゃろうな。

各自レギュラーに渡された特別強化合宿についてと書かれた紙の束に軽く目を通しながら、そんな事を思っとった。



「この特別強化合宿については、私から璃亜に説明はするけれど…」

「頼むよ。でもマネージャー参加の場合は特別審査テストをクリアしないとダメだから、璃亜は参加出来ない可能性が高いけどね」

「しかし、種ヶ島さんは楠木さんを推薦しておとくと仰っていましたが…」

「いや、マネージャーである楠木の場合は仮に推薦をされたとしても強制参加ではないからそこは問題ない」

「璃亜が来たくねぇって言えば、別に問題ねぇって事だろぃ?」

「あぁ、そういう事だ。後日、参加の有無を聞けば問題ないだろう。まぁ、あちらからなにか連絡が来る可能性はあるが、楠木次第だからな」

「何かあれば俺に連絡が来ると思うから、その時はみんなにも連絡をするよ」



幸村の言葉にみんなが頷く。

この特別強化合宿を主催してるのがU-17でも世話になったコーチ陣で面識があるからの。

そして部活はないのでそのまま俺達は解散した。



―――
――――
―――――



「…早苗、大丈夫か?」

「えぇ…私は大丈夫。でも璃亜が心配だから…今日は璃亜ん家に寄って行きたいのだけれど…」

「…うむ、今回ばかりは俺も一緒に…とはいかんな。楠木のマンションまで送ろう」



少しデータの確認をしてから帰るなんて言っとったが…まぁ、羽川がいるんじゃからそんな事だろうとは思っとった。

みんなが部室から出て行ってから暫くして、部室から羽川と参謀の会話が聞こえた。

部室の壁に寄り掛かりながら2人の会話を聞いていたが、どうにもこうにも羽川の様子がおかしい。まぁ、それを一番に気付いたから参謀はこうして2人で残ったんじゃろうが。



「それと仁王…盗み聞きとは趣味が悪いな」

「誰かが戻って来るんがわかっとったクセによく言うナリ」

「ふっ、確率は82%というところだったがな。まぁそれは"仁王の場合"と言うべきか」

「相変わらず、嫌な言い方するぜよ」

「精市は、後で俺に連絡してくるだろうしな。戻って来る可能性が高かったのが仁王と丸井だったというだけだ」



参謀がふっと笑いながら羽川と一緒に部室から出て来る。まぁ、参謀の事じゃからバレとるとは思っとったがな。

そして話を聞いていたのなら話が早いと、一緒にマンションに向かう事になったのはいうまでもない。





(璃亜を心配する前に羽川は大丈夫なんか?)
(えっ…別に大丈夫だけれど)
(うむ、仁王に気付かれるレベルには不自然だぞ)
(参謀、さっきから失礼ナリ)
(いや…璃亜が心配ってだけよ)
(ほーん?なにがそんなに心配なんじゃ?)
(うむ、毛利さんの事だとはわかるが)
(…璃亜が余りにも普通だったから)
(…?どういう事じゃ?)
(私は、璃亜が毛利さんに対してもっと怒ると思っていたの…)
(あぁ、確かに本気という感じではなかったな)
(嬉しそうって感じでもなかったがの)
(…だから心配なのよ)

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