招かれざる客 (1/4)
どーも、今日は海原祭2日目でございます。
ちなみに今日は午前はクラスの甘味処で、午後からはテニス部の出し物でずっとテニスコートです。昨日は、ずっとクラスの方だったからね。
「ねぇ…早苗、これ地味にマネージャーの仕事より疲れるんだけど」
「受付なんてそんなもんよ。はい、また仁王くんと丸井くんに指名入ったから時間割り当て書いといて」
「もうそろそろ仁王と精市の時間割り当てが頭おかしいくらいヤバいんだけど」
「時間割り当て埋まったらそこまでだから、大丈夫よ」
「全然大丈夫じゃないだろ…これ。ずっと接客テニスとか新しい拷問かな?」
もうね、レギュラーの人気がヤバい。レギュラーは、10:00〜15:00までのフルでやるらしいんだけど、午後の分の予約が仁王と精市は終わりそうです。
ちなみに午前も即行で予約終わったらしいんだけどね。そして仁王が相変わらず、もう嫌じゃ〜とか言って荒ぶってた。ちなみにさすがのあのブン太も元気なかったよ。
接客テニス恐るべし!
まぁ、ダブルスで試合とか基本を教えて貰うとか…色々種類はあるんだけどね。
そんな事をしてる間に仁王と精市の予約は終了である。あぁ、後1時間くらい接客テニスをやるのか…地獄だな。
「えぇ、仁王っちゅーやつの予約もうなしなん?ええやん、少しだけ!なっ、頼む」
「申し訳ありませんが、もう空き時間がありませんので…」
「ちょこっとでええねん。なっ、あかん?」
「仁王と幸村以外なら予約空いてますから、そっちから選んでくれます?…早苗、あたしが代わるからそっちやって」
「えっ…えぇ、わかったわ」
あぁ、もう…面倒臭いなぁ。
てか、男かよ!仁王は、男にも人気なのか…やべぇな。
とりあえず、早苗になにかあったら嫌なので席を変わる。てか、なんだこの白髪!見るからにチャラい!
そしてあたしの顔を見るなり、んんっ〜?と顎を擦りながら凄い勢いで顔を近付けて来て思わず殴りそうになるが、咄嗟に身を引いて回避した。
なんだ…こいつ、なんかやべぇ。
「自分…どっかで見た顔やなぁ」
「…はぁ?あの受付の邪魔なんで予約しないなら退いて下さっ…うわっ!」
「とんどぶりや、璃亜」
「なっ…はぁ!?ちょ、えっ…」
「そうやそうや、毛利が言うとった子や」
「つーか、全国大会の会場で泣いてヤツだし。お前、豪快に泣く子やなぁ〜とか言って笑ってたし」
急に後ろから覆い被さる様に抱き付かれて思わず、前につんのめる。
普通に考えて受付テントはあたしと早苗、そして手伝いで来てくれてる数人の1年生しかいないはずだし、関係者以外入れない。
ましてや、レギュラーメンバーはさっきから接客テニスでいないし、後ろからあたしに抱き付いて来る人はここにはいない。
でもこの仁王や千歳くんに少し似た独特のイントネーションと方言…そしてこの聞き覚えのある声と匂い。
「…も、毛利さん…?」
「おん。ホンマ、とんどぶりやな。えらい元気そうで安心したで」
「…え、ちょ、はっ!?ちょっと色々待って!」
「璃亜、抜け出せへん?」
「ちょっと!返事聞く前に抱えないでよ!早苗、ちょ…毛利さんマジで離してっ!」
「羽川も元気そうやな。ま、璃亜借りんで」
「うわぁ!ちょ、早苗ー!ヘルプー!!」
そして唖然としている早苗の頭をぽんぽんと撫でると毛利さんは、あたしを担いだままその場を足早に去った。
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