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目の前でうーんうーんと唸りながらも必死に問題を解いている楠木を見つめる。
正直、楠木を恋愛対象として見ていなかった訳じゃない。すぐに無茶はするし、たまに意味のわからない事を言うが…気は利くし、思いやりもある。
ただ、今まで関わってきた女の中でとびきりインパクトが強かった。
それにブン太、仁王や赤也…今じゃ幸村や柳生までもが楠木に好意を寄せている。
「ジャッカルくん出来た!」
「お、おぉっ!早いな」
「へへっ〜!昨日、ひーちゃんに英語覚えるコツ教えてもらったから!」
「そうか。じゃあ見とくから、次はこっちな」
「はぁーい!」
そんな事を考えていたらプリントが終わったらしく、嬉しそうにプリントを見せてくる楠木にビックリしながらもプリントを受け取り、目を通す。
まぁ…正直、楠木を好きなのかわからなかったっていうのが一番だったんだよな。それがこの間、本気で俺の為に怒ってくれていた楠木を見て、あぁ…好きだったんだなって思った。
ブン太には言えなかったのに楠木に打ち明けたのも…好きだからで、俺の事を知ってもらいたかったからだと気付いた。
でも打ち明けたはいいものの、楠木になにかあったら…と考えるとソワソワして同じクラスの柳生に心配される事も少なくはなかった。
それに楠木は、気にしてなかったみたいだが…気になるヤツが楠木なのかと問われた時に否定しなかったのは、つまりそういう事だ。
まぁ、ブン太にしつこく聞かれたが…ブン太の思ってる通りだとだけ言っといた。
別に好きなるなとも言われてもなければ、そんな事をブン太に言われる筋合いもないからな。
でもあからさまにブン太や赤也みたいに行動を起こすつもりはない。
「ジャッカルくんこれ合ってる?」
「ん?おう、大丈夫だ」
「おぉ、やった!」
小さくガッツポーズをしながら笑っている楠木にこっちまで笑みが溢れる。
楠木が笑ってればそれでいいだなんて言えば、また甘いだの男じゃないとか言われそうだが…俺は、楠木がこうして俺に笑顔を向けてくれるだけで満足だ。
それにブン太や仁王とは違った意味で素直に俺を頼ってくれる…それだけで幸せってもんだ。
「なぁ、楠木?」
「ん〜?どったの?」
「いつでも頼ってくれ」
「…えっ、いきなりなに!?」
「…いや、言いたかっただけだ」
「…そ、そう」
俺の言葉に少し驚いた顔をしたかと思うとじわじわと楠木の顔が赤くなっていき、恥ずかしそうにうつ向いた。
…やっぱり、好きと自覚してから前からよく見ていた光景のはずなのに楠木が可愛く見える。
なんつーか、甘やかしたくなる。
うつ向いたままの楠木軽く頭を軽く撫でるとバッと顔をあげると、うっすらと赤い顔で恥ずかしそう笑ってありがとうと呟いた。
(ジャ、ジャッカルくんっ…!)
(お、おう。どうした?)
(な、なんかドキドキする助けて!!)
(・・・・(それを俺に言うのか…))
(う、嬉しくて心臓がご機嫌だよ!)
(…表現の仕方がなんかこえーよ)
(へへっ…あのさ、ジャッカルくんも頼ってね!)
(お、おう。わかった)
(この間のも話してくれて本当に嬉しかったんだよ!)
(…おう、そうか。俺も楠木に話してよかったって思ってる)
(それこの間も聞いた!)
(本当にそう思ってんだよ)
(っ!ならよかった…です)
(ハハッ、なんで敬語なんだよ)
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