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そして車に戻り移動中、璃亜は俺の肩に寄り掛かりながら寝てしまった。いや、こいつは基本的に騒ぐか寝てるのどっちかだからな。
もしかしたら、無理に連れ回しちまったのかと考えたが…むにゃむにゃ言いながらいちごうまぁ〜とか寝言を言ってる辺り、ただ単に眠かっただけみてぇだな。
仕方なく自宅に戻り、未だに気持ち良さそうに寝ている璃亜を抱き抱えて自分の部屋のベッドに寝かせた。
猫みたいに丸まる様に寝ている璃亜は、いつの間にか俺の服を掴んでいたらしく立ち上がろうとしていたのを途中でやめてベッドに座った。
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暫くして璃亜が目を覚ましてた。そのあとは、出掛ける事はなかったが璃亜と一緒にDVDを見たり、軽くテニスをしたりして過ごした。
正直、デートだなんて言ってたがこうして璃亜と一緒に過ごせればなんだっていいと思えた。
相変わらず、コロコロと子供のように表情を変えながら笑っている璃亜を見ていると不思議と心も満たされた。
「アーン?今日はもう遅い。明日の朝に送ってやるから今日は泊まっていけ」
「えぇー!?」
「これから送って行くとなると1時を過ぎる。安心しろ、学校には間に合うように送る」
「いや、学校は別に遅刻でもいいんだけどさ?」
「アーン?よくねぇだろ。とりあえず、風呂に入ってもう寝ろ」
「長風呂オッケースか?」
「アーン?構わねぇよ。長風呂用に準備させる」
「跡部くんマジキング!」
「アーン?当たり前だろうが」
そして時間が時間だったので璃亜に泊まるように言った。
ケラケラと笑いながら大きいお風呂で長風呂だ〜やったぁ!とか言いながらはしゃいでる璃亜を連れて行く。
そして軽く璃亜に風呂の説明をして俺も自分の部屋に戻り風呂を済ませた。
今日は、ヤケに充実した1日だったな。璃亜とは合宿でも一緒に過ごしたはずなんだが…また違う感じだったな。
そしてソファーに座り待っていると1時間半くらい経って部屋がノックされた。随分と長かったなと思いながら入るように促すと璃亜が部屋に入ってくる。
洗濯を済ませておいた朝のルームウェアに身を包んだ璃亜がゆっくりと向かってくる。
そして何故か目の前で止まったかと思うと少しだけ壁に目をやるとゆっくりとなにかを差し出した。
「誕生日おめでとう!」
「なっ…」
「時間なかったから跡部くん家のメイドさんとか執事さんとか料理人にも手伝って貰っちゃったんだけど…」
「…璃亜が作ったのか?」
「…半分くらいね。プレゼント買えなかったし…こんなでごめんね。後でプレゼント買うかっ…おぉう!?」
璃亜から差し出されたのは小さなケーキだった。これを作る為に長風呂なんて言ったのか…ケーキを受け取りテーブルにゆっくり置いてから璃亜の手を引いて腕の中へと閉じ込めた。
…いつも俺様の誕生日にはパーティーが開かれ、色んな奴等から祝われるが…好きなヤツに祝われるのがこんなに嬉しいとは思わなかったぜ…。
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