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璃亜に腕を引かれて街中を本当に特になにもせずに歩いている。これが璃亜のデートなのか?正直、俺には意味がわからんねぇな。
「デ、デートって…どんなお店に行けばいいのかわからないんだけど…」
「………っ…」
「ちょ、ちょっと!なんで笑ってんだし!」
「い、いや…本当にデートした事ねぇのかと思ったら」
「バ、バカにしやがって!ていうかね!いくらデートした事ないあたしでも付き人がいるデートは有り得ないって事くらいわかるよ!」
「ハッ、そうかよ。ならお前の好きなデートをしてくれて構わねぇぜ?」
「なんだよ、好きなデートって!もうデートデート言うな!こちとら恥ずかしいんじゃ!」
「アーン?璃亜も言ってんじゃねぇか」
もうデートやめよ!普通に遊ぼうそうしよう!と顔を赤くして自問自答をしたかと思えば、俺の腕を掴むとスタスタと歩き出す。
というか、俺様の腕を引いて歩く女とか璃亜くらいしかいねぇだろうな。
別に嫌って訳じゃねぇが、やっぱり俺に従うような女しかいなかったからか…こういった、ちょっとした事でも嬉しいと思える。
「跡部くん、お腹空いた!」
「アーン?なら車に戻ってランチを」
「クレープ食べたい!」
「アーン?それ飯じゃねぇだろ」
「いいじゃんいいじゃん!跡部くんは、クレープ食べた事ないの?」
「アーン?あるに決まってんだろ。まぁ、いい…買って来てやる、なにがいいんだ?」
「い、いや…なんか不安だから一緒に行く」
なにが不安なのかわからねぇが、一緒に付いて来た璃亜はどれにしようかな〜なんて言いながらメニューを眺めている。
普通に飯を食いに行けばデザートくらいあるだろうに。なんでクレープなんだか、俺には理解出来ねぇな。
そんな事を考えていると璃亜が跡部くんは食べないの?と聞いてきたので俺はいいと答えると少しだけ残念そうな顔をして自分の分を頼んでいた。
そしてクレープを受け取り、嬉しそうにイスに座りクレープを頬張る璃亜をただ見ていた。
「美味いか?」
「うん!ちょっと頭使ったから甘いもの食べたかったんだよね〜」
「アーン?何に頭使ったんだよ」
「美術館で色々考えたりしてたから!やっぱり、楽しいねぇ!人が作ったものってなんか意味があるじゃん?それを勝手に想像してこうだったのかな?とか考えるの好きなんだよね」
ケラケラと笑いながらそんな事を平然と話す璃亜は、本当に無邪気なヤツだ。
それにしても、そんな見方をしてたからあんなに真剣だったのか。
だからってクレープを昼飯代わりにするのは、おかしな話だけどな。
そして気が済んだのか、もう跡部くんの好きなところに行こうよと璃亜が言い出したので車に戻った。
電話で呼び出そうとしたら璃亜にちゃんと歩いて戻ろ!と腕を掴まれてしまったので仕方なく歩いた。
ちなみに全然違う方向に向かってたので、結局は俺が璃亜の手を引いた。
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