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(2/5)


さすがにこの美術館をじっくりと見て回ってたら、1日じゃとてもじゃないが回りきれない。璃亜には悪いがずっとここにいる訳にもいかねぇし。



「そろそろ出るぞ」

「え、あっ…うん」

「また今度連れて来てやる。残りは、その時に回ればいい」

「マジで!やった!」

「あぁ、すぐに迎えに行ってやるからいつでも言え。ほら、行くぞ」

「ウィーッス!」



本当に美術館が好きなんだな。素直に俺に手を引かれている璃亜は、ニコニコと嬉しそうに後を付いてくる。

まぁ、正直…璃亜は自分の話をしたがらないから、こうして璃亜の好きなものが知れて俺も嬉しいがな。

それに無理に知ったかぶりをして俺に合わせたりしない辺りがまた嬉しい。大体の女は、俺に認められようと…相応しくある様にと自分を魅せたがるからな。

まぁ、そいつ等と璃亜を比べるのは璃亜に失礼な気もするがな。



「てか、普通にあたしが楽しんでたよね?跡部くんの誕生日だからって事なのに」

「アーン?別に構わねぇよ。俺は今日1日付き合えって言っただけで楽しむなとは言ってねぇだろ」

「いや、そりゃあそうだけど」

「次は、璃亜が行きたいところに行く。どこか行きたいところはないのか?」

「何故そうなった」

「デートっていうのは、お互いの行きたいところに行くのが普通だろうが」

「え、まずこれってデートだったの!?誘拐からのデート!?斬新過ぎかよ!!」



何故か騒ぎ出す璃亜を無視して美術館の外のベンチに座る。むしろ、デートじゃなかったらなんだと思ってたんだよ。

そしてあーだのうーだの言ってる璃亜に頭を傾げているとバッと顔を上げる。つーか…そんな目開くな、元から目でけぇんだから普通にこえーよ。

とりあえず、なにかを思い付いた様子の璃亜に黙っていると何故か俺の腕を掴むとスタスタと歩き出す。

だが、そっちは車を待機させてる方向じゃねぇ。



「アーン?どこに行くつもりだ?」

「適当にぶらぶらする」

「…アーン?」

「跡部くんのデートって常に運転手がいて付き人がいて、それってデートじゃないと思う」

「へぇ?言うじゃねぇの」

「い、いや…デートとかした事ないから知らないけど」

「ふはっ、ねぇのかよ」



恋愛経験なくて悪かったね!と言いつつ、プリプリ前を歩く璃亜の頬が少し赤い。

…ふんっ、可愛いヤツめ。

どうせ、相手はデートだと思ってたが璃亜がそれに気付いてないだけなんだろうがな。まぁ、デートって事で誘ったら璃亜は来なそうだからな。

それにしても適当にぶらぶらってなんだ。


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