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えーと…どうしたもんか。

わかちゃんもこの腕を見てかなりビックリというか…険しい顔をしてたけどさ。

なんかやっぱり、気まずいというか…あんまり見られたくないというか…。



「…お前は、いつでもボロボロだな」

「へ?」

「誰かの為にボロボロになってるお前を見るのは、正直気分がいいもんじゃねぇ。でも、お前のそういう真っ直ぐなところは嫌いじゃねぇ」

「えっ…う、うん?」

「…理解してねぇな?」

「さーせん」

「…まぁ、いい。ただ、余り無茶をするな。お前が怪我をしたと聞くだけでこっちは気が気じゃない」



無茶をしたつもりはないけど、余りにも跡部くんの眼差しが真剣で、あたしは素直に頷くしかなかった。

跡部くんのこの眼は、なんか苦手というか…いう通りにしなきゃならないって気になるから怖いわ。

そしてゆっくりと服の袖を元に戻すと、そのまま後ろからあたしを抱き締めたまま黙ってしまう。

いや、あの…離してくんねぇかな。てか、さっきから跡部くんの匂いがヤバい…めっちゃいい匂いするんだけど!



「…は、離してくれません?」

「アーン?なんでだよ」

「いや、なんでと言われても」

「アーン?嫌なのか?」

「その聞き方ズルいよね!」

「アーン?ズルくはねぇだろ。嫌なら嫌って言えばいいだろうが。まぁ、離さねぇけどな」

「聞いた意味ねぇじゃん!」



そして何故か離す気がない跡部くんに抗議するのも面倒なので大人しくしてると、暇なのかなんなのかさっきからあたしの髪を弄ってる跡部くんが気になる。めっちゃ気になる。

むしろ、ちょっと擽ったいんでやめて貰っていいですかね?

軽く体を捻って跡部くんを見上げると何故か御満悦な様子の跡部くんである。

マジで訳がわからんぞ、このキング。



「ねぇ、髪の毛擽ったい」

「アーン?」

「後、さっきから跡部くんの匂いがヤバいから離してくんねぇかな」

「おい、その俺様が臭いみたいな言い方やめろ」

「むしろ、凄くいい匂いです。本当にありがとうございました」

「ならいいじゃねぇか」

「よくねぇから言ってんだよ。跡部くんに酔ってしまう」

「アーン?俺様に酔えるなんて最高じゃねぇーの!」

「うっせぇし!いいから離せ!」



テンションたけぇな、おい!
ていうか、なんで髪の毛触ってたんだよ!あたしは、そっちの方が気になるわ!

あ、あれか!枝毛チェックか!しかし、残念だったな!あたしの髪は、なかなか綺麗なんだぜ!枝毛がないっていう自信はないけどな!!

そんなこんなで渋々、あたしを膝から降ろした跡部くんであった。





(てか、さっきから髪触ってなんなの?)
(アーン?綺麗な黒髪だなって思ってな)
(素直にありがと)
(璃亜によく似合ってる)
(跡部くんの名前呼びにドキッとするんだけど)
(アーン?なにがだ)
(跡部くん、基本あたしの事お前呼びじゃね?)
(……気を付ける)
(いや、別に気にしてる訳じゃないから)
(うるせぇ…俺様が気にしてんだよ)
(気にする程の事じゃないんだよなぁ…)
(あんまりうるせぇと膝に乗せるぞ)
(そういうところを気にしなよ)
(アーン?気にする必要ねぇだろ)
(ダメだ、この人!!)

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