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そして待ってましたと言わんばかりに跡部くんがすぐに迎えに来て、黒いヤバそうな車に乗ってどこかへGOひろみです。



「ねぇ、すっごい今更だけど!あたしはなんでこの車に乗ってるの?」

「アーン?なに訳わかんねぇ事言ってんだ」

「訳わかんねぇのは跡部くんだからね!?日曜日の朝っぱらからなんだって言うんだね!」

「アーン?お前、明日がなんの日か知らねぇとは言わねぇよな?」

「…あ、明日?」



今日じゃなくて明日とな?

…え、明日は、普通に学校だけど?え、それがなんなの?跡部くんマジで意味がわかんねぇんだけど!

あれ?なんかすげぇ機嫌悪そうなんだけど!跡部くんの綺麗な顔が歪みに歪んでらっしゃる!!

あ、明日だろ?今日は、日曜日!明日は月曜日!マンデー!!えーと、今日は3日で…明日は4日で…んん?

……あ、あぁぁぁ!わかったわかった!
って、それであたしを呼んだの!?え、バカじゃねぇの!普通はあたしが行くもんじゃね!?



「えーと…跡部くんの誕生日?」

「ハッ、ちゃんと覚えてんじゃねぇか!」

「つまり…明日、俺様の誕生日だから誕生日プレゼントを買えと?」

「お前の思考は相変わらず意味がわかんねぇな。プレゼントなんて要らねぇよ、ただ今日は俺様に付き合ってもらう」

「あたしも跡部くんの言ってる意味がわかんねぇわ」

「ハッ、相性がいいんじゃねぇの?」

「それは絶対に違うと思う」



とりあえず、プレゼントは今日1日俺様に付き合う事だとか何故か勝手に決められた。

いや、なんだそのプレゼント。
ていうか、誕生日だから精市も許可したのか。いや、精市の許可が要るっていうのもおかしな話だけどな。

まぁ、なんか跡部くんがさっきから上機嫌なのでいいか。それにしてもこの車のソファやべぇな…ふかふかで眠くなるわ。

ていうか、どこに向かってるんだろうか。



「あ、そういえば…こんな形でちょっとあれだけど…」

「アーン?」

「よっこいしょ…」



とりあえず、思い出した事があったのでゴソゴソとブーツを脱いでふかふかのソファというか、座席に正座をする。

そして深々と頭を下げる。



「病院とかその他もろもろ…本当にありがとう。あたしが知らないところで色んな事してくれてたんだね。本当に…こんなんじゃ感謝しきれないけど」

「…バーカ、やめろ。俺様が好きでやってる事だって前にも言っただろうが」

「いやいや…近所の病院にあたしの受け入れの為に色々機材とか手配したりしたって聞いたし。それに精市の病気の心配もしてくれてたみたいだし…ありがとう」

「チッ…余計な事言いやがって。それと幸村に関しては本人から礼の連絡を貰ったからお前はいいんだよ」

「いや、電話では詳しく言えなかったからさ…」

「バーカ、感謝の言葉なんて要らねぇ。お前は、病気を治す事だけ考えてればいいんだよ」



ソファーで頭を下げていたあたしの頭を跡部くんが無理矢理上げさせると、わしゃわしゃとあたしの頭を撫でると目を細めて優しく笑った。

あぁ、なんだろう。
これだからイケメンは嫌だ。

そんな綺麗に笑われると泣きたくなるわ。


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