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結局、仁王さんもリビングに来て俺が事情を話すと頭を抱えながらチラリとキッチンで飲み物の準備をしている璃亜さんを見た。
「本当にバカなんか…あやつは」
「今更ですね。ちなみに俺は、帰りますって言いましたからね」
「まぁ、おまんならそうじゃろうな。でも泊まったんなら同じぜよ」
「そうですね」
「なにもしとらんじゃろうな」
「さぁ?どうですかね」
「……………」
「……………」
これ以上、特に俺から話すことはない。表情こそ変えないがあからさまに気分が悪そうな仁王さんに少しだけ気分がいい。
そして飲み物を持った璃亜さんが極自然に俺の隣に座ったのがまた不満だったのかピクリと仁王さんが反応する。
…この人、こんなにわかりやすい人だったか?
「おらよ!そんで用件はなんだ!それ飲んだら仁王は帰れよ!」
「なら飲まん」
「なんでだよ!飲めよ!」
「日吉は、いつ帰るん?」
「特に決めてませんが。璃亜さんに帰りたくなったら言ってねと言われているので」
「帰る時、送ってくからね!」
「いや、それは結構です」
とりあえず、仁王さんは帰る気がないらしい。まぁ、わかっていたが。
そして相変わらず、ギャーギャーと仁王さんと言い合いをしている璃亜さんだったが、なにかを思い出したのか急に救急箱と小さな箱と昨日の買った物の袋を持って俺の隣に戻ってくる。
そしてなんとなく璃亜さんがしようとしている事がわかり、昨日言い損ねた事を思い出した。
「璃亜さん、あのピアス片方くれません?」
「え、わかちゃんピアス開けてないじゃん」
「璃亜さんは、今から開けるんですよね?ついでに開けてくれません?」
「え?マジで言ってる?」
「はい」
「マジか。別にいいけど…あたし、ニードル派だから怖いかもよ?ほら、これで開けるの」
「よくわかりませんが、任せます」
「よくわからないのに開けようとすんなし!まぁ、いいや…あたしが先に開けるから見てて」
なんか仁王さんが空気になっているが気にしていないのか、丁寧に耳を綺麗にしてニードルという注射針の様な物を取り出すと、なにやら準備をしてそれをなんの躊躇もなく刺した。
全く痛くないのかすぐに2つ目も済ませて、はいこんな感じ!と耳を見せた。
まぁ、正直見てるだけじゃよくわからないが璃亜さんに任せる事にした。
「右にしてやりんしゃい」
「おい、こら」
「右だとなにかあるんですか?」
「えーと、片方だけってなるとちょっと意味があったりするんだよね」
「なら左で」
「おけ。ちょっと痛いかも知れないけど、いい?」
「大丈夫です」
右だとなにか悪い意味なのだとなんとなくわかったので璃亜さんに左に開けてもらった。
正直、余り痛くなかった。
そして軽くホールのケアの仕方とホールが安定するまでは、ピアス外しちゃダメだよと言われた。
なんか仁王さんが俺もピアス開けるナリ〜とか騒いでたが璃亜さんにファーストピアスに使える新品のピアスもうないしと断られていた。
(わかちゃんピアス似合う!)
(そうですか?)
(てか、今更だけど開けて大丈夫だったの?)
(特に問題はないですよ)
(璃亜は、俺を無視し過ぎじゃ)
(は?なにが?)
(俺もピアス開けるナリ)
(うん、開ければ?)
(開けてくれんのか!!)
(だからピアスないってば)
(後でいいナリ)
(ニードルはあるからピアス買って来いよ)
(なら仁王さんは右に開けるべきですね)
(オッケ!右なら任せろ!!)
(やめんしゃい)
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