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まぁ、璃亜さんが嫌がらないのなら別にこのままでも悪くない。

ギュッと俺の腕を掴んではいるが離してくれという意味ではないらしい。



「わかちゃん、マジでぬくい。眠くなるんだけど」

「寝ます?」

「いや、寝ないけどさ。なんかわかちゃんいると気が緩む〜わかちゃん、しっかりし過ぎなんだよ〜」

「普通ですよ。むしろ、璃亜さんがしっかりしなさ過ぎなんだと思いますけど」

「ひでぇ!でも否定出来ない!」

「まぁ、しっかりしてる璃亜さんとか俺は嫌ですし。今のままでいいんじゃないですか?」

「わかちゃん、なんかちょっとドキッとしたんだけど!ヤバイ、病気かも!」

「…頭のですか?」

「クッソ!あたしのドキッを返せ!」



…これは勘違いする。
普通に璃亜さんの事だから特に意味はないんだろうが…そんな事を言われたら8割の男は俺に気があるんじゃないのか?と勘違いするだろう。

それに昨日からの俺と璃亜さんを見てる人がいたとしたら、完全にカップルだと勘違いされると思う。

でも璃亜さんは、そんなつもりはないんだろう。むしろ、これが通常運転だから困る。

まぁ、それでも俺はなんだかんだいいポジションにいるみたいなのでそこは素直に嬉しい。


そして相変わらず、訳のわからない事を言ってる璃亜さんを抱き締めていると不意にインターフォンが鳴った。

誰だよ〜と若干、面倒臭そうに呟くとトントンと俺の腕を叩くので腕を解くと小走りでリビングから出て行った。



「ほいほーい!誰だっ…お前かよ」

「璃亜が電話無視するんが悪いんじゃろ」

「で、なんの用だね?」

「…これ誰のローファーじゃ?」

「おい、無視すんな!そして勝手に部屋に入ろうとすんな!!」

「これ、髪を引っ張るんじゃなか!」



玄関からギャーギャーと騒がしい声が聞こえて来て、あぁ仁王さんか…と璃亜さんとの時間を邪魔された気分になり内心舌打ちをしつつ、ゆっくりと玄関に向かった。

そしてそこには、仁王さんの髪を引っ張りながらギャーギャーと言い合いをしている2人がいた。

とりあえず、仁王さんが俺に気付いたので軽く頭を下げると一瞬目を見開くとそのまま俺から目を反らさずに璃亜さんの頭を引っ叩いた。



「いたっ!?ちょ、なにすんだ!!」

「日吉がなんでいるんじゃ」

「昨日泊まらせて貰ったので」

「あれ?わかちゃん、来ちゃったの?いっ!ちょ、仁王痛いっ!離せ!」

「どういう事じゃ?」

「とりあえず、璃亜さんが痛がってるんでその手を離したらどうです?」



俺が来た事に気付いた璃亜さんが掴んでいた仁王さんの髪を離して、こちらに来ようとしたがそれを仁王さんが止めた。

しかも結構な力で掴んだらしく璃亜さんの顔が歪み、必死に仁王さんの手から逃れようと璃亜さんが暴れていると仁王さんパッと手を離し、俺を見た。

あぁ、この眼は芥川さんのアレと同じだな。仁王さんは、もっと余裕がある人だと思っていたが…いや、俺が泊まったと言ったせいか。


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