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ふっ、ダメだな。
少しでも璃亜さんにいい印象をなんて思っていたが、なりふり構ってる場合じゃないな。それでもなく立海には厄介な輩しかいないからな。
それに泊まっていけと言ったのは、目の前でおーい?大丈夫かー?なんて頭を傾げながら手を振ってるこの人だ。
「ベッドで寝てもいいですよ」
「お、やっと素直になっ…」
「璃亜さんもベッドですけどね」
「へっ?」
「璃亜さんがソファーを譲らないって言うなら、一緒に寝ればいいかと」
「わかちゃん、あたしのベッドそんなに広くないんですが」
「突っ込むのそこですか」
相変わらずのバカさ加減に呆れを通り越して笑えてくる。まぁ、拒否というか嫌がられなかっただけいいと思おう。
この人の場合、考え方が基本的にズレてるからな。
とりあえず、絶対狭いから!とか言ってる璃亜さんに大丈夫ですよとなにが大丈夫なのか全くわからないが答えつつ、璃亜さんに寝室に連れてってもらった。
「ほら、そんな広くないし!あたしは、ソファーで寝っ…ぬわっ!」
「まさか、ソファーでなんて寝かせませんよ」
「い、いやっ…せ、狭いしね?わかちゃんがゆっくり寝れないよ?」
「俺は別に問題ないですが」
「え、えぇっ…そ、そして離して下さい!ちょっとドキッとした!これではあたしが寝れないではないか!」
寝室から出て行こうとした璃亜さんの手を引いて抱き寄せると思いもよらない言葉を口にした。
…顔を赤らめて、なにを言ってるんだ…この人は。
ドキッとする要素がどこにあったんだ?それに問題ないとかは言ったが、こっちの方が色々と寝られないと思う。
とりあえず、大人しく腕の中でひぃ〜とか訳のわからない事を言ってる璃亜さんをベッドに押し込む。
「え、マジで寝るの!?」
「寝ないんですか?」
「いや、寝ますけどね!?」
「嫌なんですか?」
「ちょ、その聞き方はズルいと思います!」
「なんとでも言って下さい。それで嫌なんですか?それなら俺は、ソファーに行きますけど」
「い、嫌ではないですけど…あぁ、もうっ!わかちゃんのバーカ!いいよ、入りなよ!でも狭いって文句言わないでよ!」
ほら…と顔を反らしながら布団を捲る璃亜さんは、本当にバカだ。普通ならじゃあソファーで寝てくれる?って言うところだろう。
まぁ、璃亜さんの事だから嫌だとは言わないだろうし、ソファーで寝てくれとも言わないとは思っていたけどな。
そしてゆっくりと璃亜さんの隣に入るが、思ったより狭いとは感じなかった。
と言うのも璃亜さんが華奢で小さいというか…まぁ、特に問題なく横にはなれる。
「そんな端にいると落ちますよ。というか、そんなに離れる程嫌なんですか」
「ち、違うから!そうじゃなくてね!?嫌とかじゃなくて!」
「なら、こっち来てください」
「やだ…わかちゃんの美顔がっ!こんな近くにっ!!」
「…なに言ってるんですか」
そしてモゾモゾと近付いて来たのはいいが、相変わらず訳のわからない事を言っている璃亜さんに頭を抱える。
本当に危機感がない人だな。
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