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あたしがやるからいいよー!なんて言いながら駆け寄ってくる璃亜さんの顔は、うっすらと赤い。
熱でもあるのかと軽くオデコに触れるとビクッと目を見開くと大丈夫だから!っと何故か必死に腕を掴んだ。
…なんだ?
熱はないようだが…俺は、璃亜さんが顔を赤くするような事をした覚えはない。
合宿の時や全国大会の打ち上げでは、その場の雰囲気に乗って大分大胆に動いたが…やはり、雰囲気っていうのは怖いな。
それと俺を心配だからと泊めてくれるくらいに信用してくれているというのは、嬉しいが複雑な気持ちだ。
「おーい、わかちゃん?」
「…なんです?」
「急にボーッとし始めたから、わかちゃんこそ大丈夫?具合悪くない?」
「大丈夫ですよ。それでなにを作るんですか?」
「ん〜、わかちゃんはなに食べたい?」
「俺はなんでもいいですよ」
「それ一番困るヤツね!」
じゃあ〜もう時間も時間だし。すぐ作れるしうどんでいい?と冷蔵庫の中を見ながら言う璃亜さんにいいですよ。と答えると冷蔵庫からうどんやら野菜などを取り出した。
すぐ作れるしと言うわりには、結構色々な物を入れるらしい。さっきは、俺が作りますなんて言ったが俺はほとんど料理はしないし、本当に簡単な物しか作れないからな。
そして璃亜さんの指示通りに手伝いをした。
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そして野菜やらキノコがたっぷりのうどんを食べ終わり、片付けも手伝った。座ってていいと言われたが、さすがにお世話になる身としては出来る事はしたい。
そして寝る場所について璃亜さんがベッドで寝ろとさっきから譲らない。
普通に考えて俺がソファーで璃亜さんがベッドだろう。
「ダメったらダメ!わかちゃんはベッド!あたしはソファーで適当に寝るから大丈夫!」
「それがダメです」
「たまにソファーで寝ちゃうくらいだから大丈夫だよ!」
「それ大丈夫じゃないです」
「大丈夫なの!ほらほら、ベッドに行きたまえ!」
「ちょ、ちょっと押さないで下さいよ」
「あ、スマホが荒ぶってる。ちょっと待ってて!」
グイグイと俺の背中を押していた璃亜さんがパッと手を離すとブーブーとテーブルの上で振動しているスマホを手に取るとあ、電話だと言いながら通話をし始めた。
どうやら、明日の部活の事らしく雨だとか休みだとかの単語が聞こえてくる。
朝御飯は要らないのね?はぁ?昼飯は自分で作れよ!じゃあな!と言う言葉を最後に通話は終了したらしい。
…朝御飯?
「あ、ごめんね!明日の部活休みになったって。日曜日は明日の天気でまた決まるらしいけどね〜」
「この雨じゃあ仕方ないですね。というか、朝御飯ってなんです?」
「ん?最近、仁王と一緒に朝御飯を食べてるんだよね。あいつ、朝御飯食べなくてさぁ〜作ってくれるなら食べるとか言い出してさ」
そういえば、このマンションには仁王さんもいるんだったな。さすがに一緒に朝御飯を食べる程に距離が近くなっていたとは思わなかったが…。
腕の怪我の理由を聞いた時もそうだったが、やはり距離が近ければ近い程有利なんだな。
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