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強い雨の中、バシャバシャとあたしとわかちゃんの走る音がヤケに大きく聞こえる。
時折、大丈夫ですか?と心配してくれるわかちゃんに頷きつつ必死に足を動かした。
そしてマンションまでもう少しなんだけどなんか風も強くなってきて…さ、寒いっ…ヤバい、普通に寒い。
「璃亜さん、すいません。ちょっと大人しくしてて下さい」
「えっ?」
「俺でも寒いって感じるんで。急ぎますね」
「わかちゃっ…ぬわっ!」
「…体かなり冷えてますね。ちゃんと掴まってて下さいよ」
そして急にあたしを抱き抱えると猛ダッシュするわかちゃんになにも言えず、言われた通りにぎゅっとわかちゃんに掴まって大人しくしていた。
それにしても…わかちゃん綺麗だなぁ。不謹慎なのかもしれないけど、雨に打たれて水が滴るわかちゃんがなんか凄く綺麗でちょっとドキドキしたのは秘密である。
なんか少し熱くなりました。
てか、そんな真剣な顔をされるとワリとマジでドキドキするんですが…それは。
そしてびしょ濡れになりつつ、マンションについたあたしとわかちゃんだったが…
「いや、意味がわからない!そんな格好で帰るとかバカなの!?」
「終電はダメって言ったのは璃亜さんじゃないですか」
「いや、確かに言ったけどね!?そんなびしょ濡れのままのわかちゃんにはいさよならーとかする訳ないだろ!」
「このくらい大丈夫です」
「大丈夫じゃねぇから!電車もびしょ濡れになるわ!いいから、ほら入れ!」
何故かそのまま帰ろうとするわかちゃんにビビる。いや、普通にバカだろ。とりあえず、わかちゃんを脱衣場まで手を引いて連れて行く。
あたしは、すぐに着替えられるからいいけど。わかちゃんは、そうにもいかないからね。
とりあえず、シャワーを浴びる様に言ってからあたしもすぐに寝室に向かって着替える。
うへぇ…さ、さみぃ!!
とりあえず、髪の毛はタオル巻いとけばいいや。
えーと…、わかちゃんには兄貴のスウェットを出してあげて…。うーん…さすがに下着はどうなんだろう?新品はあるけど。いや、ノーパンでいられても困るし。とりあえず、新品だから大丈夫だろう…。
わかちゃんに制服は洗って大丈夫ですって言われたから、洗っちゃおう。
そして部屋を無駄に暖めつつ、お湯を沸かしてながら待っていると素直に着替えてくれた様でスウェット姿のわかちゃんが現れる。
やだ、ちょっと可愛い。
兄貴の年期が入ったスウェットだからなのか、なんか似合わない。てか、なんか可愛い!なんだこれ!
「シャワーありがとうございました。…璃亜さんもシャワー浴びないと風邪引きますよ」
「お、おう!!」
「…お湯は、見とくんで大丈夫です」
「おん、任せた!なんか飲んでていいからね!」
そしてあたしもさすがにシャワーを浴びたかったのでダッシュで脱衣場に向かった。
※15分後
(よし、出たぞー!)
(ちょ…は、早いですよ!)
(いや、わかちゃんを待たす訳にはいかんだろ)
(ちゃんと温まって下さいよ!)
(大丈夫大丈夫!部屋が暖かいから)
(そういう問題じゃないです)
(てか、わかちゃん髪乾かしてねぇじゃん!)
(璃亜さんに言われたくないです)
(なんでや!ほら、こっち来なさい!)
(飲み物、ココアでよかったですか?)
(ありがと!ココアがよかった!)
(ならよかったです)
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