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お味噌汁を運んでいると眠たそうな仁王がリビングに入って来て、欠伸をしながらゆっくりと座った。

あ、ちゃんと服着ててよかった。



「はい、食べていいよ」

「ん〜いただくナリ」

「あたしもいただきまーす」

「味噌汁が美味いぜよ〜」

「そりゃあ、よかった」



相変わらず、寝起きでキャラがふわふわしてる仁王だがちゃんとご飯は食べてるので気にしないでおこう。

て言うか、なんだかんだで仁王は学校で寝ないからな。いや、寝てるのかもしれないけど、あたしは多分だけど見た事がない。

合宿の時も見たけど、やっぱり寝起きの仁王はレアだよな。ちょっとウザいけど。


そして無事に朝御飯を食べ終わり、片付けをしているとボーッと座っていた仁王がゆっくりとキッチンに入ってくる。



「なに?飲み物?」

「…腕、大丈夫なんか?」

「え、あぁ、うん。まだ少し痛むけど、深い傷は指じゃないから料理とかは大丈夫」

「…そうじゃなか」

「昨日のお風呂は辛かった」

「利き腕なんに…すまん」

「いや、謝らなくていいから」



まぁ、とりあえず片付けはもう終わるからあたしをすまなそうな顔をして見つめている仁王に大丈夫だから座ってろ。と言うと何故か後ろから腰に腕を回される。

いや、あたしは座ってろって言ったんだけど。

そしてそのまま片付けを終わらせると、仁王がゆっくりとあたしの手を引いてソファーに座らせる。



「なに?どうしたの?あたし、部屋戻って勉強しなきゃなんだけっ…んっ!」

「…………」

「お、おぉう!?なんだ、どうした!?急に抱き付くな!!」

「…なんで助けに来たんじゃ。そんな怪我までして…俺は、」

「は?バカじゃねぇの。仁王達だってあたしを助けに来たよね。それと同じだと思うけど」



どうやら、寝起きの寝惚けモードが解けたらしく昨日の事を思い出したのか深刻そうな声でそう呟きながらあたしを抱き締めている。

さすがに手加減をしてくれてるみたいで、痛くはないんだけどさ。

て言うか、なんでとか聞かれると思わなかった。確かに、あたしが来たのは驚いたかもしれないけどさ。



「て言うか、謝んな。正直、黙ってた事とかすっげぇムカつくし殴りたいくらいだけど…仁王の気持ちもわかってるから」

「…………」

「あたしの場合は、頼って貰えないって感じじゃないけど、話して貰えないってこんなに腹立つ事なんだってわかったよ」

「…話したらお前さんは何するかわからんじゃろうが」

「それは、まぁ…否定出来ないんだけど。あたしには話してくれなかったんだって悲しくなったよね。だから、仁王達もこんな気持ちだったのかぁ〜って事はわかった」



やっぱり、みんなを巻き込みたくないとか考えちゃうのは当たり前なのかもねぇ。

まぁ、それでも何も言って貰えない側としては、それが間違いだろ!ってなるんだけど。


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