助けられたのはどっち (1/4)
あたしがバッドを叩き付けるとガラスが激しい音と共に割れる。
その音に部室内にいた連中が一斉にこっちを振り向くが、無視して割れた窓ガラスから腕を突っ込み窓の鍵を外す。
なんか右腕がエライ事になったが、今はアドレナリンが出てるから気にしない。
そして窓を勢いよく開けてダイナミックではないけどお邪魔しますをして床に伏せてる仁王に駆け寄る。
さすがに窓ガラス割って入ってくるとは思わなかったのか、唖然としてる連中はハッと我に返るとあたしの腕を掴んだ。
「触んな」
その瞬間、腕を突き出し足払いをしてそいつから距離をとって床に伏せたままの仁王を背にして構える。
「で?君達は、なにをしてるのかな?」
「楠木さんっ…な、なんで…」
「なんで?それは、あたしのセリフなんだけど。なんで嫌がらせなんてしたの」
「嫌がらせ?違うよ、俺は楠木の為にやったんだよ。だって、楠木さんはテニス部の奴等を迷惑がってたじゃないか」
「有り難迷惑って言葉知ってる?あたし、頼んでないんだけど」
あぁ、やっぱりあたしのせいなのか。
て言うか、仁王が全く起きないんだけど大丈夫なのかこれ。チラリと仁王を見るが床に伏せたままである。表情も見えないし…さすがに不安になるが、目の前の連中から目は離せないのでどうしようもない。
「おい、鈴木!元々、この女はヤるって話だったんだからここでヤってもいいだろ?」
「それをここで言わないで欲しかったんですが…まぁ、もうバレちゃったんでいいですよ」
「…………」
「いくら、腕に自信があってもこの人数じゃ相手しきれねぇだろ」
「折角、そこの生意気なヤツがお前を守ろうとしたのにノコノコ来ちまうんだもんなぁ!アッハッハッ!報われねぇな!」
つまり、あたしをダシに使って呼び出したのか。まるで前のあたしみたいじゃないか…
あぁ、なるほど…仁王達がなんであの時あんなにブチキレたのかがわかった。これは、なんで言わねぇんだよ!ってなるわ。
…バカだなぁ、仁王。
でもあたしは、仁王の気持ちも凄いわかるから…
とりあえず、この目の前にいる連中を黙らせてから説教をしよう。
ジリジリと寄ってくる名前も知らない男4人は、あたし向かって腕を伸ばす。
それを弾きながら必死に蹴りを入れるが、体格差のせいで吹き飛ばず遂には足を掴まれる。
「っ、やっと掴まえたぜ」
「…っ!んのっ…離せっ!」
「うおっ!?力はねぇけど、チョロチョロうぜぇな」
「…ハァ…ハァッ」
ヤバい、気が抜けない状況な上に未だに熱を帯びている右腕が痛くなって来た。
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