始まりのレター (1/4)
おはよーございます。
最近…と言うか、新学期になってから仁王と登校するのがデフォになりつつある璃亜です。
前までは早苗が迎えに来てくれてたのに、最近は仁王に任せてるのか来てくれない…璃亜さん悲しいです。
「なんで朝一で仁王の顔見なきゃならんのだ。胸焼けするわ」
「朝から失礼過ぎじゃろ」
「朝御飯を食べ過ぎたから仕方ないね!」
「それ俺関係ないじゃろ」
「そう言えば、ちゃんと朝御飯食べてるの?ポンコツ認定された時に言われてたけど」
「………ピヨッ」
「オッケェ!精市にチクっとく!」
「や、やめんしゃい!」
どうやら、こいつは相変わらず朝御飯抜きの生活を貫いてるらしい。てか、朝御飯抜きとか辛くね?
確かに、起きるのも辛いけど朝御飯は食べたい。むしろ、あたしは基本的にそんな量食べないけど朝御飯は結構な量食べるよ。
朝御飯は、なんかいっぱい食べたくなる。そして朝御飯は、遅刻してでも食べる派です!!
「俺がブンちゃんみたいに太ったらどうするんじゃ」
「いや、お前は太れよ。てか、朝と昼はちゃんと食えよガリガリもやしめ」
「太れとか璃亜に言われたくなか。それに璃亜もガリガリじゃろ」
「あたしは食べてますー!カロリー消費が激しくて太らないだけですー!」
「俺だって食べる時は食べとるじゃろ!」
「毎回食えや!!」
そんなバカみたいな会話をしながら仁王と一緒に下駄箱まで来た。相変わらず、周りの視線が痛いが気にしたら負けだと思ってる。
そして相変わらずブツブツと文句を垂れている仁王がワンテンポ遅れて下駄箱を開けるとなにか紙の様なものが落ちて来た。
既に上履きに履き替えていたあたしは、しゃがんでそれを拾い上げたのだが…
「仁王、なんか落ちたっ…いっ…っ!」
「なん?どうしっ…璃亜!」
「…っ、なにこれっ…カッターの刃?いったぁ…仁王は、大丈夫?手切ったりしなかった?」
「俺の心配しとる場合か!指見せんしゃい!」
「お、おぉい!だ、大丈夫だから!ちょっと切っただけだし!」
紙を拾い上げた瞬間、あたしの手のひらと指に痛みが走り思わず紙を手放すとジワジワとあたしの手から血が滲んでいた。
そして落ちた紙を見れば微かにカッターの刃が見えた。
それにしても持ち方が悪かったのか結構な血が出ていて、仁王が凄い勢いであたしの腕を掴み血が流れている指を見つめた。
いや、深くは切ってないと思うんだけど。
「…保健室行くぜよ」
「1人で行けるからいいよ」
「ダメじゃ」
そして仁王はあたしの腕を掴んだまま床に落ちたカッターの刃入りの紙を拾い上げて自分の下駄箱に入れると足早に保健室へと向かった。
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