いつかの香り (1/4)
あたしは、いつの間にか寝てしまったらしい。目が覚めたら豪華な知らない天井でふかふかなベッドで寝ていた。
ゆっくりと体を起こすと腕を組んだまま椅子に座りうたた寝している真田くんが目に入る。
そう言えば、仁王が真田くんと幸村くんが迎えに向かうって言ってた気がする。
あれ?でも跡部くんと打ったあとに仁王いなかったっけ?目が霞んでたからはっきりと確認した訳じゃないけど…
「あの真田くん?」
「…む、起きたか。悪いな、いつの間にか寝てしまった」
「あ、いや、それはいいんだけどさ。真田くん、仁王と一緒に来たの?」
「なんの話だ?俺は、幸村と二人で楠木を迎えに来たんだが」
「あれ?そうなの?」
まぁ、真田くんが嘘を付くわけないし。あたしの勘違いだろう。いや、しかし…なんで仁王がいるなんて勘違いしたんだ。
どんだけ意識が朦朧としてたんだって話である。
ゆっくりとベッドから出ると真田くんもゆっくりと腰を上げる。ずっとあたしの側にいたのかな?
そんな事を考えながら立ち上がると、やっぱり結構な無理をしていたのか立ち眩みに襲われて目の前が真っ暗になる。
「ぬっ、危ない!まだ無理をするな。報告なら俺がして来よう。楠木はまだ寝てるがいい」
「う、うん、ごめん」
「うむ、ベッドに戻るんだ」
「………ん?」
立ち眩みにより、よろけたあたしを素早く支える真田くんに謝りながらゆっくりとベッドに腰を下ろした。
だけど、おかしい。
あたしがベッドに座ったのを確認してゆっくり身を翻す真田くんの腕を掴む。
「…む、どうした?」
「これ仁王のジャージ?」
「いや、俺のだが?」
それは、おかしい。
だって、真田くんって香水とか使うタイプじゃないよね?仮に使ってたとしてもさすがに部員と同じのは使わないだろう。
いや、確信がある訳じゃないんだけど…あの時に仁王のジャージを借りたからこの匂いに覚えがあった。
でも目の前には、何がなんだかと言った顔をしている真田くん。
あれ、訳わかんなくなって来たぞ?いや、でも切原くんがよく仁王先輩は変装が得意でよくイタズラされるって言ってた気がする。
つまり何か?この真田くんは、仁王なのか?あ、ちなみこれも切原くん情報なんだけど柳生くんも変装が得意らしいので柳生くんが仁王に化けてる場合もあるのか?(※混乱中)
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