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そして鈴木くんと他愛ない会話をしつつ、地道に書類を片付けていく。
それにしても座りっぱなしで腰が痛くなって来たなぁ。トントンと腰を叩いてから、書類の束を机に置く。
とりあえず、書類閉じたファイル貯まってきたしそろそろ本棚に入れるかぁ。
鈴木くんは、相変わらず床に散乱してる書類を拾って整理してるみたいだから、あたしが入れちゃお。
あぁ、身長高くてよかった。
余裕ではないけど背伸びすれば、一番上にも入れられるし。
そしてせっせとファイルを本棚に入れてたんだが、不意に肩を叩かれて振り向くと目の前に鈴木くんがいてビビった。
しかも後ろは本棚なので逃げ様がなく、メッチャ距離が近い。
「…え、なに?」
「楠木さんって本当に隙だらけだよね」
「は?なにっ…」
「…っ、璃亜から離れんしゃい」
「……っ、仁王」
「ハァ、随分と怖い顔しとるのぅ。まぁ、璃亜から早よう離れんしゃい」
なんかよくわからないが仁王がいるらしい。鈴木くんが目の前にいるせいで見えないんだけど、まぁ声はするからいるんだろう。
て言うか、仁王は今までどこに行ってやがった!
そしてゆっくりと仁王の方を振り返っていた鈴木くんがあたしの方に向き直り、ニコリと笑うとあたしから離れた。
そこでやっと仁王の姿を確認する事が出来たんだけど…あれ?なんか息上がってる?
「楠木さん、ごめんね。残念だけど手伝うのはここまでにしとく。じゃあ、俺は帰るけどまた連絡するね」
「え、あっ…うん。手伝ってくれてありがとね」
「全然いいよ。じゃあ楠木さんまたね!」
そしてあたしに軽く手を振ると鈴木くんは仁王の隣を抜けて社会準備室から去って行った。
なんかよくわからないが後でお礼のメール入れとくか。結構、手伝って貰ったし。
とか思ってたらずっとドアの近くから動かなかった仁王が凄い勢いであたしのところに向かって来たかと思ったら、いきなり抱き付かれてさすがにテンパる。
「なっ…ちょ、なにしてんだ!離せ!てか、お前どこ行ってたんだよ!」
「…ハァ、間に合ってよかったぜよ」
「はっ?なにが!?てか、なんでそんな息上がってんの!?」
「…鈴木になんもされとらんな?」
「はぁ?なにが?鈴木くんは、片付けを手伝ってくれてただけなんだけど」
必死に仁王の胸を押しながら答えるが、離す気がないのか全く動かない。てか、ちょっと力が強過ぎて苦しいんですが!
しかも走って来たのか、マジで息上がってるし体熱いんだけど。こいつ、大丈夫なの?
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