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(3/4)


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跡部の使用人のお陰でやっと氷帝に着いたかと思ったら…璃亜がコートに入っていた。

しかも相手は、璃亜の病気を知っているはずの跡部だった。他の部員も固唾を飲んでその様子を見ている様だった。



「早く止めなければっ!」

「いや、待って真田」

「しかし楠木は、運動をすると」

「璃亜の顔見てみなよ」



璃亜の顔は、真剣なのに何故か凄く楽しそうだった。

赤也の片足スプリットステップ。
柳生のレーザービーム。
仁王のダーティトリック。
丸井の綱渡り。
ジャッカルのジャッカルファング。

更には氷帝の向日、日吉のムーンサルトや演舞テニス。


見よう見真似とは、程遠く…みんなの技…動きを完全に模倣している。しかし威力は、さすがに再現が出来ないのか跡部は難なくボールを返している。



「なかなかやるじゃねぇの!でもこんなんじゃ俺様からポイントは取れないぜ!」

「っ…ハァッ…んにゃろーっ!」

「模倣じゃなくお前のオリジナルで掛かってこいよ」



息が上がっている璃亜に対して跡部は、息一つ乱していない。だからと言って手を抜いている訳ではなく容赦ない。

だけど璃亜は、諦めずにボールを拾い続けた。まだ5分も経ってないのにずいぶんと長い時間二人を見ていた気がする。


しかしそろそろ限界が近い璃亜に跡部が気付かない訳がなく、これがラストと言いながらサーブを打った。

どうにかリターンしたが息も上がり足元も覚束無い璃亜がこれ以上動ける訳がない。

そう思ってたのにも関わらず最後の力と言わんばかりのスピードでネットに詰めた璃亜。

跡部もビックリした様子だったさすがだ。璃亜がネットに出たのを良いことにロブを上げた。これで終わりだなと俺や真田、他の氷帝の連中も思った。



「…引っ掛かったな!ハァッ…1ポイントくらい取ってやるっ!」



ムーンサルト並に高く飛んで璃亜は、そのままスマッシュを打った。しかしその威力は、目に見える程弱々しい。

跡部がすんなりと拾うと誰もが思った。しかし跡部のラケットにボールが当たることはなかった。



「…あぁん?なんだと?」

「……1ポイントっ…とった…ハァッ…」



そしてゆっくり着地した璃亜は、何がなんだかの跡部に対してしてやったりといった顔で笑うとペコリと頭を下げて跡部に手を差し出した。


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