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そして運良く屋上には、誰もいなかった。と言うか、いたら困る。

ん〜それにしても屋上でサボった事がないのでなんだか新鮮だ。だいたいサボる時は、保健室か中庭だし。

キョロキョロと日陰を探し、ゆっくりと腰を下ろして携帯で音楽を聴く。

しかし暫くして睡魔に襲われたあたしは、そのままゆっくりと寝転び特に何も考えずに寝てしまった。



―――
―――――
―――――――


バタンッ!


「仁王先輩ーっ!酷いッス!」

「っ!?」


突然の凄い物音と大声によりあたしは、勢い良く体を起こした。ドキンドキンとうるさい胸に手を当てながらキョロキョロと周りを見渡せば一人の男の子。

寝癖なのか天パなのかなんとも個性的な髪型をしている。まるで頭に"ひじき"を付けてるようだ。



「って、あんた誰ッスか?あーっ!わかったッス!仁王先輩ってば遂に女の子に変装する様になったんスね?」

「は?えーと…」

「なんで入学式来てくんなかったんスか!俺の晴れ舞台なのにーっ!」

「いや、あの…」

「赤也、おまん誰と話しとるんじゃ。俺は、こっちぜよ」



マシンガントークを繰り広げる目の前の男の子に困っているとあたしの頭上から声がしたかと思ったら誰か降ってきた。

え、なにそれ怖い。

どっから来たの、この人。



「あれっ?仁王先輩?え、もしかしてこの女の子柳生先輩ッスか?」

「柳生は、入学式出てたじゃろうが。それとさすがにそんな変装はせんよ」

「え、じゃあこの人誰ッスか?」

「…………」

「知らんぜよ」



え?なにこれ。てか、あたしを見ないでいただきたい。寝起きで頭が働かないし、何よりそんな得たいの知れないものを見るような目で見んな。殴るぞ、こら。

そしてよく見れば頭上から降ってきた銀髪の男は、何故かあたしを睨んでるし。意味がわからないんですが。



「なによ?」

「行くぞ、赤也」

「え、はいッス!」

「おい、無視か!そしてあたしの睡眠妨害しといてごめんなさいもなしか!」

「あんた外部入学の1年?」

「あ?ふざけろ!中学から立海だ!このひじき野郎!」



銀髪の奴の態度も気に入らないがひじき頭のこの態度の豹変ぶりもムカつく。

てか、勝手に盛り上がって勝手に去ってくとかやめろよ。迷惑極まりないだろ。

寝起きと言うこともありプチ切れなあたしは、目の前の銀髪とひじき頭を睨んだ。


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