全国大会最終日:後編 (1/4)
赤也とわかちゃんの試合は、それはそれは凄い戦いだった。
お互いに無我状態で大技の応酬でほぼ互角。見ているこっちが気疲れする程のデュースの嵐。
そして遂にはタイブークに突入し、10分の攻防の末…
「両者試合続行不可能により無効試合となります!!」
と言う、なんとも凄い終わり方をした。しかもぶっ倒れた2人は、全く起きる様子がなくちょっと心配になるレベルだった。
すぐにブン太とジャッカルが赤也を運んで来てくれたんだけど、ボロボロな上に汗が凄い。
ゆっくりと観客席に横に寝かせられた赤也の汗を拭きながら、次の試合に出る柳くんと真田くんを見つめる。
「楠木、そんな顔をするな!俺等は、決して負けない!」
「ふっ、当たり前だ。お前達の頑張りを無駄にはしない」
「真田くんも蓮二も頑張ってね。ほら、璃亜」
「うん、知ってる!頑張って来てね!」
「うむ、赤也を頼むぞ」
そう言いながら拳を突き出す2人にあたしも拳を合わせた。
そしてゆっくりとコートに向かって行く2人を見送り、未だに肩で息をしながら意識が戻らない赤也に向き直る。
冷タオルで顔を拭いているとブン太とジャッカルくんが隣に座り込んで首や脚に冷タオルを当て始める。
「ったく…本当にこいつは、昔っからめちゃくちゃなヤツだぜぃ」
「ハハッ、でもそれが赤也のいいところでもあるんだよな」
「あ、私がやるから丸井くんと桑原くんは休んでっ…」
「羽川は柳を見ててやれって。お前がいるとデータ以上の成果が出るらしいからよぃ」
「最近の柳はノロケ過ぎだけどな」
「最近、早苗さんもよくノロケるんだよ。リア充爆発しろ。まぁ、だから早苗は柳くんと真田くんを応援してあげて」
「…ありがとう。でもなにかあれば呼んでちょうだい」
そう、すまなそうに笑った早苗は用意してくれたドリンクを置くと前の席に戻って行った。
あたしも赤也の目が覚めたらせぐに応援に戻るから。それまであたし達の分まで応援してくれ。
それにしても…赤也は、本当によくぶっ倒れるな。無我状態は、凄いスタミナを使うらしいから仕方ないのかも知れないけど。だからか、幸村くんや真田くんは無我を使えるのに無駄に使わないらしい。
いや、赤也が無駄に使ってるって訳じゃないけどね。わかちゃんとの試合は、無我で攻めなきゃヤバいって判断したんだろうし。
それにしても、ブン太とジャッカルくんの言動からして昔から赤也は本当に無茶してたんだなぁ、悪魔化とか。
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