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試合は、ブン太がリードこそしているが激しい攻防が繰り広げられている。
当たり前だけどやっぱり千歳くんも強い。簡単には勝たせてくれないみたいだ。
それをみんなは、わかっているからこそ…黙って試合を見ている。才気煥発中の千歳くん相手にブン太の集中力を切らせる訳にはいかない。
そしてベンチに1度戻って来たブン太に幸村くんが軽く指示を出す。それにブン太は、コクりと頷くとすぐにコートへ戻って行く。
…なんだろう。
やっぱり、カッコイイな。
いつもブン太とは別人みたいで、真剣なのに凄い楽しそう。
「ゲームセット!ウォンバイ立海大付属、丸井7-6!!」
「いい試合だったばい」
「おう、楽しかったぜぃ!」
そしてブン太は長いタイブレークの末、千歳くんに見事勝利した。ブイサインを向けながら天才的だったろぃ〜?と笑うブン太にみんなも溜め息混じり笑った。
ちなみに幸村くんからは、お褒めの言葉と共に今後の及第点を告げられていた。
相変わらず、幸村くんは厳しいでござる。
「うっし!次、俺等ッスよね!仁王先輩!」
「さぁて、どう遊んでやろうかのぅ」
「あ、璃亜先輩!拳出して下さい!」
「えっ、は?ん、こう?」
「絶対勝って来るッス!」
「なら俺も。勝って来るき、しっかり見ときんしゃい」
あたしの拳に軽く自分の拳を当てると行ってきます!と仁王と一緒にコートに駆けて行く赤也に自然と笑みが溢れた。
あぁ、一緒に戦うってやっぱりいいなぁ。
まだ優勝どころか、QFなのに何故か泣きそうになる。でもそれだけ、みんなの真剣さとか…想いが伝わって来るから。
うん、大丈夫…まだ泣かない。
「ふふふ、これは面白い試合になりそうだね」
「謙也くんと財前くんですか。組み合わせ的に合宿の試合を思い出しますね」
「まぁ、あの時は仁王と忍足で組んでたからな。それにしても…一波乱有りそうな試合だぜ」
「璃亜、ドリンクくれぃ」
「あっ、はい。凄かったよ」
「当たり前だろぃ。それにみんなで一緒に戦ってんだろぃ?なら負ける訳ねぇっての」
「ブン太が…カッコイイ。いつもウザ喧しいのに」
「最後のは、要らねぇだろぃ。ドリンク掛けるぞ」
あたしの言葉に一瞬笑うとムッとした顔をしてあたしにドリンクを掛ける様な素振りをして、ブン太は隣に座った。
うわぁ…汗が凄い。
余裕そうにしてたけど、かなりギリギリだったんだなぁ。
そしてドリンクを飲んでいるブン太に、嘘だよ凄いかっこよかった。って耳打ちをすると何故か凄い勢いでドリンクを吹き出して、前にいた真田くんにめっちゃ怒られてた。
お、驚かせたならごめん。
でもマジでかっこよかった。
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