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そして練習に戻ったのは、いいんじゃが…。さっきから楠木から凄い睨まれてて、集中出来ずにいる。

ベンチから何か言いたそうにジィーっと俺に熱い視線を送っとる。



「楠木さん、さっきからずっと仁王くんを睨んでますね」

「俺に惚れたんじゃなか?」

「寝言は寝てから言ってください」

「やぎゅー酷いぜよ」

「仁王くんが余りにもデリカシーがないので怒っているんではないですか?」

「なんでじゃ。ちゃんとオブラートに包んで教えたぜよ」



さすがの俺でもはっきり言わずに教えてやるくらいするぜよ。しかも教えないで黙ってる方がたち悪いと思うんじゃが。

まぁ、黙ってても面白そうじゃったけど、どんな反応するかも見てみたかったけん、だから教たんじゃけど。

まさかあんな反応するとは、思わなかったき。ビックリしたがいいもん見れたからの。



「楠木のパンツが黒とか、丸見えだったとか言ってないぜよ?」

「おい、銀髪ーっ!!!」

「に、仁王くん!!!」

「なんじゃ、事実じゃろ?」

「おまっ…!潰す!」

「赤也の口癖取りなさんな」



どんだけ地獄耳なんじゃ、こやつ。ベンチから凄い勢いでこっちに来たかと思ったら律儀にコートに入って来ない事に思わず吹き出した。

怒ってるのにコートに入って来ないとか何しに来たんじゃ、こいつは。

コートの外でキーキーと顔を赤くしながら地団駄を踏んでいる楠木にボール拾いをしていた赤也がまぁまぁ!と宥めている。



「すっげぇ可愛かったスから!」

「あぁ!?」

「楠木先輩は、どんなパンツ履いてても可愛いッス!」

「〜〜〜〜〜っ!」

「いだっ!ちょ、楠木先輩!?なんで殴るんスか!?」



しかし赤也は、バカじゃった。と言うか、バカ以前の問題じゃろ…アレは。

どんな慰め方じゃ。

顔を真っ赤にしたままプリプリと怒ってジャッカルの元へ行く楠木を赤也が追い掛けるがボールを投げ付けられている。



「全く、貴方という人は…」

「俺より赤也の方が問題じゃろ」

「仁王くんって好きな子をいじめるタイプっぽいものね?はい、パワーリストの重り」

「何を言い出すんじゃ、羽川」

「柳くんがあんな楽しそうな仁王を見るのは初めてだってデータ録ってたわよ?」



じゃあここに置いておくわね。とパワーリストの重りを置くとスタスタと戻っていく羽川。

…迂闊だったぜよ。

別に楽しんでるつもりは、なかったんじゃが。そんな事を思いながら楠木の方を見ると相変わらずブンちゃん達と騒いでいた。





(ジャッカルくんがんばれー!)
(俺の事も応援しろぃ!)
(だが、断る)
(楠木先輩、無視しないで下さいッス!)
(お前は、ボール拾いしてろ)
(なら俺様の天才的妙技で…)
(ジャッカルくんすげぇ!)
(俺の話聞けよぃ!)
(ふふっ…楽しそうで何よりだね)
(全く、浮かれよって…。たるんどる!)


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