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ふぅ、本当に厄介なヤツぜよ。

未だに大人しくしとる璃亜の頭を軽く撫でるとゆっくりと顔を上げる。

やっぱり、大人しいと可愛いのぅ。


不思議そうに俺を見上げる璃亜の前髪を退けて軽くオデコに唇を落とすと、璃亜は俺になにをされたのかわからなかったのか何度かパチクリと瞬きをすると急に顔が赤くなり、凄い勢いで俺の胸を押す。



「な、ななっ…し、死ね!あんたなんか知らない!ずっとここにいろ!」

「璃亜は、耳まで真っ赤にして可愛いのぅ」

「く、くぅっ…は、離せぇ!!」

「嫌じゃ、離したくないナリ」

「なっ…お、おまっ…なんなの!?その急にキャラ変わるのやめてくんない!?」



真っ赤な顔をして怒っとる璃亜に自然と頬が緩む。ホントにダメじゃな…俺は、こやつに毒され過ぎじゃ。

じゃが、そろそろ誰かが璃亜を探しに来るかもしれんからの。

仕方なく璃亜を解放すると、何故か頭を引っ叩かれた。本当にこやつは、手が早い(物理)ナリ。



「こ、このホストやろう!心配してマジで損した!バーカ!」

「ほぅ、心配しとったんか」

「うるせぇ、バーカ!もういいから、早く戻るよ」

「ククッ、それでも一緒に戻るんじゃな」

「うるさい!いいから、パーティーに戻れバカ!」

「わかったわかった。ほら、行くナリ」

「なっ…ちょ、手を離せ!」

「相変わらず、璃亜の手はちっさいのぅ」

「話聞けよ!!!」



そして璃亜の手を引いて食堂へ戻ったがいいが…案の定、色んなヤツが飛んで来た。

ちなみに手は離してやらん。むしろ、これ見よがしに自慢しちゃる。

幸村とブンちゃんの目が色んな意味でヤバイが、知らんぷりじゃ。



「な、なんで仁王先輩と一緒!?てか、なんで手繋いでんスか!?」

「トイレの帰りに会っただけじゃ」

「でも手を繋ぐ必要ないやろ?仁王くん、俺に代わり」

「璃亜ちゃーん!マジマジ、俺寂しかったCー!仁王くんその手離して!」

「…とりあえず、座りたいんだけど。ちょ、白石くん…ち、近い近い近いっ!!」



やっぱり、璃亜は厄介なヤツにしか好かれとらんな。

凄い勢いで璃亜をかっさらっていく面々に思わず苦笑いが漏れる。

とりあえず、パーティーには参加するが、もう璃亜とまともに話せなそうじゃな。

そんな事を思いながら、わらわらと囲まれてテーブルに向かって歩いて行く璃亜の背中を眺めていると、不意に璃亜が振り返り…早く来なよと不機嫌そうに言った。


…本当にこやつは、ズルいヤツじゃ。





(璃亜ちゃんは、ホンマええ匂いやな…)
(ごめん、白石くんキモい)
(部長、キモいんでむこう行って下さい)
(璃亜ちゃーん!)
(ねぇちゃーん!)
(…ジローちゃんと金ちゃんは、とりあえず落ち着こうぜ)
(璃亜、それ食べたいナリ)
(はぁ?…はい、食べれば)
(ありがとうナリ〜)
(璃亜、俺は?)
(いや、幸村くんさっきお腹いっぱいっ…あ、はい)
(ふふっ、ありがとう)

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