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…ハァ、なんか疲れたの。
他の奴等が璃亜に群がるのは、予想しとったが…璃亜が遠山にドレスを脱がされそうになったのは、さすがに予想外だったぜよ。
それに…あやつのあの焦り方は、ドレスが脱がされるからって感じじゃなかった気がしたナリ。
まぁ、あの感じじゃと…肩を気にしとったみたいじゃし、怪我を見せたくなかったってところじゃろうか。
他の奴等が気を使わん様にか。
本当にそういうところだけは、しっかりしとるのぅ。
廊下の壁に寄り掛かり、そんな事を考えとると不意に食堂の扉が開いた。
「あ、いたいた」
「これ、主役が抜け出して来るんじゃなか」
「うっさい。で?気分が優れない仁王くんは、こんなところでなにをしてるのかな?」
「気分が優れないから廊下でリフレッシュ中ナリ」
「嘘こけ」
食堂から出て来たのは、まさかの璃亜じゃった。
そして俺がいるのを確認するとゆっくりとこっちに向かって来る。
なんじゃ、俺になんか用でもあるんか?ちゅーか、璃亜に俺が廊下にいるの教えたんは参謀か…誰にも言わんでくれって言うたんに。
んで、俺の目の前に璃亜が来た訳じゃ…その上目使いで覗き込むのやめんしゃい。
「なに、仁王ってコミュ障なの?一人カッコイイーとか思ってる厨二なの?それともみんなに嫌われてんの?」
「…お前さんは、本当に酷いヤツじゃな」
「いや、最後のは嘘だけど。下級生組は、結構仁王の事好きみたいだったし。で?なにしてんの?」
「じゃから、気分が悪いって言ってるじゃろ」
嘘は言ってないナリ。
璃亜が他の奴等に好かれとるんはわかっとったが、目の前で好き勝手されとる璃亜を見て気分が良い訳ないぜよ。
むしろ、イライラを通り越して見るのも嫌になってこうして逃げて来た訳じゃし。
それにブンちゃんや幸村みたいに他の奴等と一緒に璃亜んとこに行く勇気もなかったしの。
「…そうなの?」
「俺は、いいから早く戻りんしゃい。主役がいないとみんなも困るじゃろ」
「……………」
「なんじゃ…どうした?」
うつ向いて急に黙る璃亜に頭を傾げる。
…具合が悪いんか?いや、さっき顔色を見た限り特にそんな様子はなかったはずじゃが。
ゆっくりと璃亜に手を伸ばすと、急に璃亜がバッと顔を上げて思わず伸ばしていた手を引っ込める。
「仁王は、楽しくない?」
「は?」
「だから、仁王はパーティーを楽しんでないのかって聞いてんの。いや、楽しくないからここにいるんだよね」
「別に楽しんでないわっ…」
「なんで?なにが不満?あたし、みんなで楽しみたかったんだけど。どうしたら、あんたも楽しめんの?」
顔を上げた璃亜は、険しい表情でそう詰め寄ってくる。
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