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ホンマ、馬子にも衣装やな。
千歳先輩が言うてたけど、派手過ぎない真っ白なドレスは、まるでウェディングドレスみたいや。
まぁ…せやけど、髪をアップにしとるせいでボディピアスがあからさまに浮いとるけどな。
「ま、まぁ、気にしないで。それで、ひーちゃんもご褒美の話?」
「あーそんなとこッスわ。んで、日吉のヤツのご褒美ってなんやったんスか?」
「え、いやぁ…聞くの忘れてちゃって。まぁ、後で聞けばいいかなーって」
………つまり、あの一連の絡みは別にご褒美やからやっとった訳やないんかい。
やっぱりこの人、アホや。
いや、あたしは悪くない悪くないんだ!とかブツブツ言いながら顔を赤くさせる璃亜さんにイラつく。
ほな、俺もご褒美はまだ使わんとこ。いざって時に、璃亜さん苛めんのに使いたいしな。
ちゅーか、こんな注目浴びとる時に頼みたないわ。
「璃亜さん、ちょいこっち来てや」
「お、おう?どうした」
軽く璃亜さんの手を引いて、自分の体で璃亜さんを隠す様にして部屋側に背を向ける。
これなら、璃亜さんは部屋側の連中から見えへん。
「んで、肩の怪我どんな感じなん?改めて、診て貰ったんやろ?」
「なんで知ってんの!まぁ、ちょい傷痕が残るかもって言われたけど、傷自体は順調に治ってるでござるよ」
「……その事、他の人等は知っとるの」
「いや、お医者さんには誰にも言わないでとは言っといたけど。どうかなぁ…跡部くんが呼んでくれたお医者さんだし、跡部くん辺りには報告されてるかも知れない。って、ひーちゃんに言っちゃったし!」
アカン…罪悪感が爆発しそうや。
しかし、そんな俺の気も知らんでみんなにはまだ言わないでね!?と必死に俺に詰め寄る璃亜さんに思わず頭を抱える。
傷痕残るかも知れん言われたんに、なんで誰も責めないねん。お前等のせいやとでも言うてくれた方がまだマシやん。
…やっぱり任せなよかった。正直、この人なら無茶はするやろうけど大丈夫やろとか思っとったあの時の自分を恨む。
「ひ、ひーちゃん?大丈夫?てか、もしかして…また俺のせいだとか思ってる?」
「…当たり前やろ。あん時、止めんかった俺のせいや」
「それは違うよ。仮にひーちゃんに止められても、あたしはやめなかったし。みんなに反対されてもやってたと思うよ」
だから、そんな顔しないでよ。と申し訳なさそうに頭を傾げる璃亜さんが俺の頭を撫で様と手を伸ばした。
しかしその手を引いて、驚く程に華奢な璃亜さんの体を抱き締める。ホンマ…こんなすぐ折れそうな体で無茶すんなや。
「お、おおおぅっ!?ひ、ひーちゃん!?ど、どうしたっ!」
「ちょっと黙っとって下さい。ホンマ…あんな説教じゃ全然足らないッスわ」
「なっ…り、理不尽っ!!」
「このまま、へし折ったろか」
「そ、それ説教じゃない!!てか、離してっ…!あ、熱い!」
「俺が璃亜さんの言うこと聞くと思うとりますの?」
「ひ、ひえーっ…?!!か、顔近い!な、なんなの!?生意気コンビ怖い!」
真っ赤な顔で必死に俺の胸を押すこの人は、ホンマに俺より年上なんかわからんくらいアホやな。
ちゅーか、日吉と一緒にすんなや。せっかく、気分良かったんになんかイラッとしたやんけ。
んで、そんなに離して欲しかったら璃亜さんから抱き付いたらすぐ離したるって言うたら…絶対だかんなっ!?とか言いながら抱き付いて来て、もうホンマにこの人はアホなんやと思った。
せやけど、それ以上にアホなんはこの人に抱き付かれて、嬉しいとか思っとる自分やわ。
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