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そしてあたしに抱き付く赤也と腕を掴んでいるひーちゃんの無言の攻防に若干引いているあたしです。



「アーン?お前等、今日の主役を困らせてんじゃねぇよ。2人共、離せ」

「べ、べちゃん様!」

「…変な呼び方すんじゃねぇ」

「そんな事言って跡部さん、璃亜先輩と一緒にいたいだけなんじゃないっスか?」

「切原の言う通りッスわ」

「アーン?なんだと」



ちょ、ダメだ!べちゃん様は、煽り耐性0なんや!まんまと赤也とひーちゃんの言葉にあたしの肩に手を置く跡部くんに涙が出そうだ!

だ、誰かー!まともな人呼んでー!てか、木手くん助けてー!千歳くんと無駄な言い合いしてないで助けてー!

そしてチラリとあたしの視線に入ったのは…


「わ、わかちゃーん!助けてー!」


険しい顔をしてこっちを見ていたわかちゃんでした。

そしてあたしの言葉に軽く溜め息を吐くような素振りをすると、手に持っていたグラスを置いてこっちに向かって来る。



「3人共、離したらどうです?璃亜さん、困ってますよ」

「アーン?」

「日吉はあっち行け!」

「なんで日吉、呼ぶねん」

「あ、あたし…わかちゃんに用があるんや!だからちょっと離してくれ!」

「えぇ…すぐ戻って来てくれるッスか?」

「来るから!いいから、離せ!」

「…しゃーない。用終わったら俺んとこ来て下さいよ」



お、おぉ…!わかちゃんありがとう!渋々といった感じだけど問題の赤也とひーちゃんがゆっくりとあたしを解放してくれた。

ちなみに跡部くんは、謎の笑みを浮かべながらわかちゃんを一瞥すると、あたしの頭を撫でてどっか行った。

そんな跡部くんに頭を傾げているとわかちゃんに行きますよと手を引かれて、バルコニーに出た。



「ハァ…わかちゃん、ありがと。てか、なんなの…パーティー楽しむどころじゃないんだけど」

「…知らないですよ。て言うか、いつもみたいに殴ってでも離させればよかったじゃないですか」

「い、いや…それもそうなんだけどさ。みんながあたしの為にって開いてくれたパーティーなのにそんな事したら悪いかなって」

「それで身動きとれなくなってたら意味ないですけど。相変わらず、バカですね」

「う、うるさい!てか、わかちゃん…スーツ似合うね。なんか和服の方が似合うイメージあったけど」

「…はぁ、そうですか」

「反応薄っ!てか、わかちゃん機嫌悪くない?それとも具合悪いの?大丈夫?」



ジローちゃんを迎えに来た時もそうだし、さっきも険しい顔をしてたし。

そんな事を思いながらわかちゃんのオデコに手を当てると、わかちゃんがゆっくりとあたしを見つめた。





(璃亜さん、日吉さんを選んだのかな)
(いや、あれは選んだって感じじゃないわね)
(で、でも本当にみんな…璃亜さんに集まっていきましたね…)
(璃亜ちゃん、だからね!)
(天龍寺さんは、誰推しなんですか?)
(私は、うーん…璃亜ちゃんが選んだ人なら誰でも!)
(じゃあ、桑原さんは?)
(お、俺っ!?てか、なんで俺がここに呼ばれたんだよ!)
(丸井くんに相談されたんじゃないかなーって)
(な、何故それを!)
(じゃあ丸井さんを応援してるんですか?)
(お、お前等…グイグイ来るな)

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