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「ふふふっ…今日は、なんだかみんなやる気満々だね」
「たるんどるっ!」
「幸村くん、ドリンクを持ってきましたよ。楠木さんから受け取りました」
「あぁ、ずいぶんと早いね。それで彼女は?」
「えぇ、他の仕事に向かったと思いますよ」
柳生がドリンクをベンチに置くと眼鏡の位置を直しながら、楠木さんが水道の位置を把握してなかった事や、1度にこの量のドリンクを運ぼうとしていた事を報告すると練習に戻った。
それにしても水道の位置くらい把握しててもいい気がするんだけどね。
「真田、このドリンク飲んでみてくれないか?彼女を信用してない訳じゃないが飲めない物をレギュラーに渡す訳にはいかないからね」
「むっ…俺に毒味をしろと言うのかっ!」
「ふふふ…そこまでは言ってないよ。それに俺も飲むから」
「むっ…ならば、良いか」
真田、幸村と書かれているドリンクに手を伸ばし一口ドリンクを飲む。
いつもは、蓮二がやっているから安心して飲めるんだけど…いくら彼女がミーハーではないと言っても口に入れるものとなると少しばかり抵抗がある。
それに彼女を信用してない訳じゃないが、俺等レギュラーのドリンクは粉の配合が複雑な物しかないのでそれなりに難しい。
しかもこの短時間で作るとなると尚更である。なので、一応確認をしておかなければならない。
「…うむ。これは、蓮二が作ったのではないのか?いつもと変わらない気がするのだが…」
「うん、そうだね。でも蓮二は、あそこでデータ録ってるし」
「…楠木か。なかなかの曲者かも知れんな。1回で完璧にドリンクを作るとは」
「ふふふっ…あれ?真田も興味持っちゃった?」
「なっ!そんな事はない!た、ただ…真面目な奴は嫌いではない」
結果的にドリンクは、問題なかった。少しくらい味か違うかな?とか思ったけど、蓮二がいつも作るドリンクとほぼ変わらなかった。
うん、やっぱり彼女は俺の想像を越えてくる。マネージャーをやるのを断るし。嫌々言いながらも仕事はきちんとしてるし。
みんなのやる気も上げてくれるし。プラスばかりだね。
「赤也っ!大丈夫かよぃ!?」
「いてててっ…丸井先輩、大丈夫ッスよ」
「おーおー…痛そうじゃのぅ。やーぎゅが手加減せんからじゃ」
「何を言っているんですか仁王くん。私のレーザービームに手加減なんてありませんよ」
柳生のレーザービームを取ろうとした赤也が転び、膝を怪我をしたらしい。チラリと時計を見ればそろそろ休憩の時間になる。
仕方がないので赤也は、このままベンチで休んでてもらい休憩の時に手当てをする事にした。
ちなみに赤也は、レーザービームを取れなかったのが悔しかったのか真剣にみんなの練習を見ていた。
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