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そして聞こえてるのかわからないあたしの応援に微かに2人が反応した気がした。

その瞬間、赤也とわかちゃんの動きがピタリと止まる。

無我の境地は、体力切れとイップスによりとっくに解除されてたはずなのに再び2人が無我る。

それだけでもびっくりしてるのに…そのまま2人は、シンクロまでし始める。



「…はぁ?」

「いや、確かに危機的状況で稀に起こる言われとるけど、それはないやろ…」

「え…無我の境地でシンクロとか…なにそれ…」

「でもあの2人、楽しそうだよね〜」

「わわっ、璃亜さんが泣いてる!だ、大丈夫ですか?」

「…うん、大丈夫。なんか、もう…本当に凄いな…あの2人」



微かに振り向いた2人が勝ちますからと言わんばかりに笑ったのが見えて、思わず涙が出る。

あたし、最近マジで涙脆いな。

て言うか、そんな体力がどこにあるんだよ。もうボロボロでまともにボールを返すのもやっとだったのに…

やっぱり、凄いなぁ。


そして予想外の赤也とわかちゃんの無我の境地状態のシンクロに幸村くんと跡部くんが押され始める。

幸村くんのイップスから完全に抜け出してるみたいで、生き生きとした2人のプレイにまた泣きそうになる。

ダメだこれ!あたし、全国大会とか泣かないで見れる自信ないわ!


そして凄い勢いで幸村くんと跡部くんを追い詰める2人だったが…ゲームカウントが追い付いたと同時にパタリと2人がぶっ倒れた。



「…赤也!わかちゃん!」

「…へへっ…追い付いたと思ったら…気が抜けて…」

「……すいま、せん…」

「あぁ、もうっ…!本当に…バカッ!謝るな!2人共、凄いかっこよかったっ…!」

「ふふっ、久し振りに楽しかったよ。赤也、強くなったね」

「アーン?うちの日吉の方が強かったけどな」



そして何故か親バカならぬ、部長バカを発症してる2人を無視してぶっ倒れてる2人を起こすと他の下級生組が手伝ってくれた。

さすがにあたしじゃ、肩を貸しても意味無さそうだし。

そしてぐったりとしたままベンチに座っている2人の頭をわしゃわしゃと撫でる。



「ちょ…璃亜先輩なんで泣いてんスか!?え、俺等が負けたからッスか!?」

「んな訳あるか!本当にっ…頑張ったね…!ありがとう」

「…ちょ、璃亜先輩っ…あ、あのっ…えっ…ちょ…」

「わかちゃんも頑張ったね…!」

「…勝てませんでしたし、まだまだでっ…ぶふっ!」

「勝ち負けなんて関係ない!本当に凄かったから!」

「わ、わかりましたから…ちょっと苦しいです。後、切原が近い…」

「なら日吉、お前が離れろ!」



感動やらなんやらで座っている赤也とわかちゃんに抱き付いて誉めてたら、それを見ていたひーちゃんがあたしの後ろを指差した。

そしてあたしがゆっくりと振り向くとそこには、幸村くんや跡部くんを始めこの試合を見ていたみんながいた。





(喜ばせるどころか号泣してんじゃねぇか)
(璃亜ちゃん泣かないで〜!)
(あの子、スポ根とかに弱いから…)
(うむ。感動しているのだろう)
(やめて!冷静に分析しないで!)
(いや、それにしても泣き過ぎだろい…)
(あんなん見たら泣くだろ!号泣するだろ!)
(確かに、こいつ等の成長には驚いたが…)
(うるさいうるさい!あたしは、これから下級生組にご褒美をあげるんじゃ!君達は、どっかに行きたまえ!)
(…は?ご褒美?※2年生一同)
(アホや…なんでここで言うや…)
(…璃亜さんだから…じゃない?)

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