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・・・暇じゃ。
第3試合が終わったら参謀から連絡が来る予定じゃが…ボーッとしながらしゃぼん玉をやっとるんも飽きたぜよ。
余り気は進まんが…やっぱり、試合見に行くかの。
しゃぼん玉を吹きながらそんな事を考えとると誰かが歩いて来るのが見えた。
……あやつ、試合を見とるんじゃなかったかの。なんであんなとこ歩いとるんじゃ?
とりあえず、合宿場に向かっとる訳じゃなさそうじゃし…本当に何しとるんじゃ、あやつ。
そして俺はゆっくりと立ち上がり、足早に歩いとる璃亜を追い掛けて肩を掴み声を掛けた。
「お前さん、こんなところでなにっ…」
「……なっ!?」
「…幸村か赤也になんかされたか?」
「な、なんでもないっ!」
「こ、これ!どこに行くんじゃ!」
なんちゅー顔しとるじゃ。
振り返った璃亜の顔に柄にもなくドキッとした。
そしてうっすらと赤く染まった璃亜の顔になんとなく、幸村か赤也になんかされて逃げて来たんじゃと予想した。
そしてそのまま、逃げる様に走り出す璃亜の腕を掴むと離せと言わんばかりに暴れだす。
「これ、暴れるんじゃなか」
「う、うっせ!離せっ…んぐ」
「…落ち着きんしゃい」
「う、うわぁぁ!は、離せぇ!!」
「ぐふっ…な、殴るんはなしじゃ!」
軽く抱き締めただけじゃのに、璃亜に腹部を殴られて普通に痛いナリ。じゃが、ここで離したら確実にこやつは、逃げ出すぜよ。
とりあえず、落ち着かせんとまともに話も出来ん。
また殴られても困るんでとりあえず、両手首を掴むとバッと璃亜が顔を上げた。
「は、離せ!」
「離したらまた殴るじゃろ」
「うぅ〜〜〜っ!!」
「唸るんじゃなか」
まるで威嚇しとる野良猫じゃな。
とりあえず、片手で璃亜の両手首を掴み直して軽く頭を撫でると何故か、今度は大人しくなった。
な、なんじゃこやつ…。なにがどうしたんじゃ?多分、幸村じゃろうが…一体なにされたんじゃ。
それとも具合悪いんか?
「おまん、本当に大丈夫か?もしかして、具合悪いんか?」
「だ、大丈夫…だし…」
「ならいいが。とりあえず、落ち着きんしゃい」
「……………」
「よしよし、いい子じゃ。手離すが殴るんじゃなかよ」
少し身構えつつ、ゆっくりと璃亜の腕を離す。しかし、殴られる事はなく大人しくしとる璃亜に安心する。
とりあえず、突っ立っとるのもあれじゃし…無言でうつ向いてる璃亜の手を引いてさっきまで俺がいた場所まで戻った。
(試合は、どうしたんじゃ?)
(…知らない)
(見に戻らんでええんか?)
(…後で、跡部くんに見せてもらう)
(…しゃぼん玉やるかの?)
(……………やる)
((…や、やるんか)ほ、ほれ…)
((無言でしゃぼん玉中))
((なんじゃ、この状況…))
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