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羽川には、一応蓮二を通じて頼んで置いたけど…余りにも璃亜が無防備で警戒心0だから、少し意地悪したつもりだったのに。
ぷるぷると小刻みに震えながら黙ってしまった璃亜にやり過ぎたかな?と顔を覗き込むと、今にも泣き出しそうな顔をしていて流石に焦った。
「えっ…ちょっと、璃亜?そんなに嫌だったの?」
俺の言葉にふるふると首を振る璃亜は、相変わらず泣きそうな顔のままだ。
そしてごめんね?と頭を撫でればまたふるふると首を振る。
…なんだろう。
不謹慎なんだろうけど、普通に可愛いとか思っちゃった。
羽川も言ってたけど、璃亜は恥ずかしがり屋と言うか…こういう事に慣れてないって言ってたから、キャパオーバーしちゃったんだろうね。
でもそう考えると俺は、まだ璃亜に意識してもらえてるって事だし、そこは安心かな。
「ごめんね?璃亜が余りにも無防備だから」
「……………」
「あれ?今度は、さすがに殴られるの覚悟してたのに…本当に大人しいね」
優しく頭を撫でてから璃亜を軽く抱き締めるが、借りて来た猫みたいに大人しい。
てか、身長は低くないのに華奢だからすっごく小さく感じる。
とりあえず、体を離して下を見るとゆっくりと璃亜が顔を上げた。
ふふっ、やっぱり怒ってる顔も可愛いなぁ。
「ふふっ、怒ってる?」
「幸村くん…からかってるでしょ」
「ふふっ、まさか」
「……し、試合見るっ!離して!」
「ふふっ、また肩貸してくれる?」
「へ、変な事しなければ」
「変な事って?」
そして俺の言葉にうわぁぁ!もうやだー!と立ち上がると幸村くんのバカー!と走って逃げ行く璃亜にさすがにちょっと驚いた。
それにしても…本当に慣れてないんだなぁ。
そんな璃亜の背中を見送りつつ、少し離れたところにいた蓮二にやり過ぎだと言わんばかりの顔をされたのでやり過ぎちゃったと苦笑いを返した。
その隣にいる赤也は、璃亜先輩!?とか言いながら走り出そうとしてたが、見事に蓮二に捕まってた。
まぁ、落ち着いたら璃亜も戻って来るだろうし。とりあえず、ここで試合を見てよう。
それにしても…ふふっ、本当に璃亜って予想外って言うか、面白いなぁ。
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