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ビンタをされた瞬間に切原くんがどこからともなく現れて、あたしを心配そうに見つめるとすぐに振り返りあたしにビンタをした女を睨み付けた。
その目は、赤く充血してて今にもその女に殴り掛かりそうなくらい怖い顔をしていた。
「一体なんの騒ぎだい?」
「ゆ、幸村くんっ…!それに真田くんに柳くんまでっ…こ、これはっ…」
「一人に多勢とは、たるんどる!」
「我々がお前達の言い訳を聞き入れる確率0%」
「璃亜っ!」
なんだなんだ?どんどん人が増えてくるんだけど。幸村くんに真田くん、柳くんに早苗。
よく見たら銀髪や赤髪、ジャッカルくんと柳生くんも普通にいるし。
駆け寄ってきた早苗に苦笑いを浮かべると軽く頬を撫でられた。多分、赤くなってるんだろうなぁ。
「幸村部長!こいつらが楠木先輩にいちゃもん付けて殴ったんスよ!」
「いや、殴られてないよ。ビンタはされたけど」
「とりあえず、楠木さんは頬を冷やした方がいい。赤也、お前は付いていけ」
「わかったッス!」
「他はここに残れ」
えーと?なんかよくわからないけど早苗と切原くんに立ち上がらせられると足早にその場から連れて行かれる。
て言うか、あたしホントに状況がわかってないんだけど。なんでみんながいるんだ。
そんなあたしをよそに心配そうにあたしを見つめる切原くんに頭を傾げると何故か謝られた。
「俺が話し掛けたのが悪いんスよ。よく考えたらわかる事だったのに…」
「えーと?なにが?」
「俺のせいで先輩があいつ等に呼び出されたんスよ」
「あーそうだね。切原くんもファンクラブあるしね。タブらかさないで!って言われたし」
「わ、わかってたんスか?!」
そりゃあね。最初は、知らなかったけど切原くんにファンクラブがあるって聞いた時は特に驚かなかったしね。
てか、赤髪や銀髪とも関わってたし。こうなる事くらい誰にだって予想がつく。
「だってあんた達テニス部って人気なんでしょ?ファンクラブもあって。そんなテニス部の奴等と話してればそりゃあ恨まれるでしょーよ」
「う、うぐっ…」
「璃亜、やめなさい。切原くんはあんたを心配して…」
「それは、わかってるよ。だから別にテニス部の奴等のせいとか思ってないよ」
「楠木先輩っ…」
「でもあそこで出てくるなら普通は、ビンタ止めるだろ。カッコ悪いですね、ひじきくん」
うぅ…すいませんッス!と泣きそうな顔で謝る切原くんに頭を軽くポンポンと撫でて、でもありがと。と言うとパァッと切原くんの顔が明るくなる。
それを見ていた早苗があたしに何か目で訴えている様な気がしたがよくわからなかった。
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