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そしてやっと試合が始まる。

が、その瞬間になにかが背中に覆い被さった。



「うわぁっ!?」

「璃亜ちゃん!俺も一緒に見てE〜?」

「なら俺もいいッスよね。俺、試合出ないんで」

「ジ、ジローちゃんとリョーマくん?いやいや、ジローちゃんはいいけどリョーマくんはダメでしょ!」

「試合出ないし、ここで見るなら問題ないでしょ」



そしてあたしの言葉を無視して隣に座るリョーマくんと既に寝る気満々なジローちゃん。

いや、まぁ…もう試合始まるしいいや。

とりあえず、ジローちゃんがコックリコックリと船を漕ぎ始めたので膝枕をしてあげる。

もはや、膝枕が当たり前になっている気がするが…ジローちゃんだから仕方ないね!



「ねぇ、璃亜さんは本当に先輩達の事を許したの?」

「ん?まぁね。それに許すもなにも好きであんな事してた訳じゃないじゃん?」

「それはそうだけど、普通は許さないよね。てか、許せないと思うけど」

「じゃあさ?仮にあたしが青学のみんなを許さないって言うとするじゃん?リョーマくんはどうするの?」

「…別に。まぁ、でも…感謝してるッス。先輩達にテニスやめろとか言い出したらとか考えたし」



いやいや、どんなだよ。
さすがにそんな事言う訳ないでしょうが。

てか、あれ?あたし、リョーマくんに青学の本当のテニスが見たいからって説明しなかったっけ?

あんたがそこまでする必要ないよね?とかなんとか言われた時に。



「でもよく考えたらあんな無茶する人がそんな事言う訳ないよね。て言うか、あんたって本当に変な人」

「変な人とは失礼だな!」

「マネージャーのクセに無駄にテニス上手いし、なのに貧弱だし、すぐ無茶するし」

「酷い言われようだな」

「でもいいんじゃない?俺の周りにいないタイプで。でも、もう少し危機感とかは持った方がいいッスよ」



その言葉の後に不意にあたしの頬になにかが当たった。

会話はしていたものの、試合はちゃんと見ていたので頬を押さえながらゆっくりとリョーマくんの方を向くと、帽子を深く被って立ち上がっていた。

え、いや?なんだ?
あたし、なにされたんだ?
なんかされちゃいけない事をされた様な気がするんだが。



「次は、頬じゃ済まないッスよ」

「え、はぁっ!?」

「なんてね。まぁ、俺からのお礼ッスよ。じゃあね」

「ちょ、リョーマくん!?えっ!?なになに!?なんなの!?」

「越前ー!!お前ェェー!!!」

「あ、切原さんに見られてたみたいだけど…まぁ、頑張ってよ」



立海ベンチで何故か荒ぶってる赤也に更に頭を傾げる。てか、声でか過ぎだろ。

ちなみに立海ベンチは向かい側で、赤也がこっちに全力で来ようとしてたみたいだけど、柳くんに止められてた。


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