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んー、正直もう気にしてないんだけどなぁ。確かに、リアルタイムで対峙してる時は何度もぶん殴りたい衝動に駆られたけど。

しかし、目の前の2人は気が済まないのか、仕舞いには1発殴ってくれとか言い出す始末だ。真田パパかよ!


…もう仕方ないなぁ。



「はい、じゃあ歯食いしばれー」

「……っ!」
「……くっ!」



パチンパチンと軽い音が響き、2人が固く閉じていた目をゆっくりと開く。

そしてその瞬間に2人の頭をわしゃわしゃと撫でる。

ちなみにアレだよ?ビンタじゃなくて両手で顔をパチンって挟むヤツ。もちろん、痛くない程度に加減したからね。



「はい、これでもう謝るとかなしね。てか、あたしに謝る前にさっさと練習して強くなりたまえ!」

「なっ…なんで」

「ん?気合い入れてあげたんだよ。それとも強くなる自信がないのかい?」

「んなのあるに決まってるじゃないッスか!今までサボってた分を…」

「うん、それでいいんだよ。あたしに悪いとか思ってるなら、今までの分しっかり練習して本当の君達のテニスを見せてよ」



関東大会の青学の試合は、正直言ってつまらなかったからね。

時間は掛かるかもしれないけど、これで本来の青学のテニスが見れる様になる訳だし。

それだけであたしは、満足だ。謝罪とか罪滅ぼしなんて要らないから、さっさと練習して強い青学を見せてくれ。

むしろ、半分くらいその為に体張ったんだからね。後の半分は、みんなの為だけど。



「ハァ…ホンマ甘いッスわ」

「そこが璃亜のええところやんか」

「あれ?ひーちゃんと謙也じゃん。なに、ウォーミングアップ中?」

「まぁ、そんなとこッスわ。ちゅーか、普通に1発殴ったればええのに」

「いいの!ほら、もうみんな戻りなよ!試合始まるって」

「ほな、立海ボコって来ますわ」

「ひーちゃんそれ負けフラグや!」



そして何事もなかった様に去って行くひーちゃんと謙也を見送りつつ、未だに呆然と立ち尽くしている海堂くんと桃城くんの背中をちょっと強めに叩く。



「ほら、行ってこい!練習サボってたんだから負けるのは、仕方ないんだから当たって砕けて来い!」

「…ッス」
「…はいッス!」

「諦めないで頑張って来なよ!」



そう言いながら2人の背中を押した。

よし、さっきまでの不安そうな弱気な目じゃなくなった。

相手は、比嘉でしかもダブルスは裕次郎と田仁志くんペアだし、多分負けるだろう。

サボってたいたツケはでかいけど、負けは人を成長させるからね。だから、今回は派手に負けるといい。


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