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そしてそろそろいい時間になり、天龍寺さんを迎えに行くと泣きそうな顔をした天龍寺さんが待っていた。
「別に怖いならいていいよ?無理しなくていいって、跡部くんにも言われたっしょ?」
「ううん…私も行く。それに璃亜ちゃんだけが危ない目に遭うのは嫌だから」
「ハハッ、あたしなら大丈夫だよ?今から早苗んとこ行く?」
「…大丈夫。こんな事で許して貰えるとは思わないけど…私、璃亜ちゃんの為になにかしたいから…だから…えと」
アハハ、これがあたしを崖から突き落とした子の言葉だとは思えないよね。
いや、まぁ…これが演技じゃないのはここ数日の態度でわかってるからいいんだけどさ。
だって、わかちゃんの情報によると前サボってたのが嘘のようにマネージャー業を真面目にやってるみたいで、しかもあたしについて色々とわかちゃんに聞きまくってたらしい。
ちなみにわかちゃんは、裏がありそうって思ったらしく、なにも教えなかったらしいけど。
しかも、しまいにはどうやったら友達になれるかな?とか跡部くんに相談してたらしいよ。
まぁ、崖から突き落とされた事はなくならないけど…正直、あたしはもう気にしてないんだけどね。
「ん、そっか。じゃあ行こっか」
「う、うん!」
「ん、じゃあ跡部くんに連絡しといてね」
「うん、メールしとくね」
「よし、行くか!」
とりあえず、作戦通り連絡は天龍寺さんに任せるとしてあたしは、あたしで頑張らないとね。
まぁ、思った事を言うだけの簡単なお仕事なんですけどね!
そして月城さんの部屋に着いたあたし達は、顔を見合わせてコクりと頷くとドアをノックした。
ゆっくりとドアが開き、満面の笑みを浮かべた月城さんが出て来るが、あたしと天龍寺さんだと気付くと表情が一変する。
ちょ、ここまで豹変するとか流石に笑える。
いや、笑っちゃダメだけど。
「ちょっと話があるんだけど屋上に来てくんない?」
「…は?」
「あたし達、先行ってるからちゃんと来てよ」
なるべく、真面目な顔をしながらそう伝えてからすぐにその場を後にした。
返答は聞く必要は、ないし。
早いところ屋上に行かなきゃならないからね。
後ろから不安そうな顔をして付いてくる天龍寺さんに大丈夫だよの意味を込めて頭をポンポンと撫でると何故か顔を赤くして嬉しそうに笑った。
なんだこの子、前のぶりっこしてる時なんかより可愛いじゃねぇの!
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