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本気でこいつは、タイミングが悪い。と言うか、絶対に狙ってるとしか思えない。



「ほれ、泣くんならまーくんの胸で泣きんしゃい」

「…まーくんお断り」

「本当に起きとると可愛くない奴じゃ。なら、まーくんから抱き付くからいいナリ」

「まーくんマジウザい。月城さんのところに行ってください」

「あんな女、嫌じゃ。お前さんの頼みじゃなかったら好き好んであんな奴に近付いたりせん」



ベッドに顔を埋めていたあたしを包むようにして抱き締めてくる仁王に抵抗する気はない。

今更、泣き顔なんて何回も見られてるのにやっぱり出来る事なら見られたくないと思うあたしは、さすがだと思う。

そしてこいつは、こいつでなんの躊躇いもなく人を抱き締め過ぎだと思うんだ。



「てか、なんで戻って来たし」

「忘れ物があっての。それと明日からまともにお前さんと話せんのじゃろ?だから、今の内に充電するナリ」

「いや、意味がわからん。てか、あの作戦はあんた達に掛かってんだからね」

「…わかってるぜよ。じゃから来たんじゃ。それとブンちゃんが言っとったが…本気にするんじゃなかよ?」

「わかってるってば。傷付いたりしないからバンバン悪口言ってくれて構わんよ」

「…ん、やるからには徹底してやるナリ…じゃなきゃ意味ないからのぅ」



なんであたしよりこいつ等が既に滅入ってるんだ。いや、確かに嫌なことだとは思うけどさ。

そんな事を考えながら、涙も止まった事だしゆっくりと起き上がろうとするがそれを仁王が許さず、変な体制のまま仁王が抱き付いてくる。

もう立海の奴等はあたしを抱き枕かなにかと勘違いしてんじゃねぇの、マジで。



「…不安になったりしたら言いんしゃい。お前さんの部屋に忍び込むくらい余裕じゃき」

「ならないから安心してくれ。そしていい加減、離してくれ」

「これがお前さんを信じとる証拠にしとくナリ。明日から俺が言うことは嘘じゃから真に受けるんじゃなかよ」

「へ?なに?」

「お前さんシュシュ無くしたって言うとったし、似合いそうじゃったから買って来たナリ」



そう言うとあたしの腕にシュシュを付けると頭を撫でた。白地に銀の装飾がされているシンプルな物だった。確かに、あたしは黒髪だし…白なら色も映えるけど。

そんな事を考えていると今度は、起き上がったのを良いことに前から抱き締められた。

とりあえず、ムカついたけどシュシュは嬉しかったのでお礼はちゃんと言っといた。





(のぅ?アレなんじゃ?)
(え、あぁ〜ミサンガ)
(誰かに作っとるんか?)
(わかちゃんにね〜)
(俺にも作ってくれんか?)
(いや、立海には後で作るよ)
(ん?どういう事じゃ?)
(全国大会前に渡すよ)
(お前さんは、可愛いぜよ)
(うっさい!ほれ、部屋帰れ)
(もう少しだけ充電するナリ)
(あーもう、なんなんだし…)

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