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まぁ、とりあえず…渡さなきゃだめだよなぁ。なんかすげぇ心配してたみたいだし。
「えーと、ブン太くん。これどうぞ」
「…え、あっ…璃亜?」
「クッキーなんだけどなんか迷惑掛けたらしいからお詫び。要らないなら捨てて」
「はっ?クッキー?え、なに作ったのかよぃ?」
「だったらなんですか」
「てか、今ブン太って言ったよな?言ったろぃ!?」
なんで急にテンション上がったし。さっきまで死んでたじゃん。なんなのこの人。
てか、クッキーより名前に食らい付いてんじゃねぇよ。お前、散々お菓子作ってくれって騒いでたじゃねぇか。
「てか、お前俺に話し掛けて大丈夫なのかよぃ?」
「は?なにが?」
「俺が話し掛けるとお前に負担が掛かるんだろぃ?」
「あー…別にあんたのせいじゃないよ。季節の変わり目で体調崩しやすいだけ」
てか、そんな理由で話し掛けなかったのか。まぁ…あたしの病気を知ってたからだとは知ってたけどさ。
別に赤髪に心配される理由がないけど…まぁ、そこまで気に掛けてくれてた訳だし。
むしろ、あいつ病気だから関わりたくねぇー。とかの方がある意味理解出来たんだけどな。
「なぁ、じゃあまたお前に話し掛けていいんだよな?」
「あー別にいいんじゃない。好きにしたら」
「へへっ、ならもう遠慮しないぜぃ」
「いや、少しは遠慮して下さい」
「てか、これ食べていいんかぃ?うわっ!美味そうだぜぃ」
そしてあたしの話を無視である。こいつ…元気なった途端これか!いや、まぁ…うじうじされるよりはいいけどさ。
カザカザと小袋を開けるとクッキーを1枚取り出し口に放り込む。サクサクとクッキー特有の音が暫くするとガタンッといきなり赤髪が立ち上がり咄嗟に身を引いた。
「なにこれ、うまっ!!」
「うっさ!」
「ほぅ、どれどれ?お、まぁまぁじゃな。この匂いはアールグレイかの?」
「まぁね。てか、普通に考えて不味い物を人にあげる訳ないじゃん」
「て、あれ?仁王も貰ったのかよぃ?」
「まぁの。甘さ控えめなのがまたいいぜよ」
いや、そりゃアールグレイの茶葉のおかげだよ。チョコ味は普通に甘いと思うけど。
でもまぁ、普通に食べられるみたいでよかった。最悪捨ててもらおうかと思ってたし。
赤髪に関しては、多分大丈夫だろうとは思ってたけど…まぁ、期待を裏切らないよね。
そんな美味い美味いと気持ち良いくらいにクッキーを頬張る赤髪をあたしは、見ていた。
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