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どのくらい寝とったんじゃろうか。周りが薄暗いところを見る限り、結構な時間寝てたようじゃ。
まぁ、璃亜は相変わらず俺に抱き付いたままスヤスヤと寝とるが。そんな璃亜の頭を撫でていると合宿所に悲鳴が響き渡った。
さすがの璃亜もその悲鳴に驚いたのかすぐに飛び起きるとなにがあったんだと言わんばかりにキョロキョロと周りを見渡す。
そして俺に気付くなり目を丸くするが…とりあえず、今はそれどころじゃない。
まだなにがなんだかの璃亜の頭を撫でて、ゆっくりとベッドから出て廊下へと出るとさっきの悲鳴のせいか、かなり人が集まっていた。
どうやら、この先でなにかがあったらしく一際人が集まっている。
「ん〜、なにがあったの?」
「これ、お前さんは出て来るんじゃなか」
「いや、むしろあたし的にはなんであんたがあたしの部屋にいたんだって言いたいんだけど」
「まぁ、気にするんじゃなか」
「んー、まぁいいや。それでなにがあったの?」
いつもの璃亜なら怒るんじゃろうが、寝起きのせいか特に気にした様子もなく頭を傾げながら廊下の先を見つめていた。
そして誰かの怒鳴り声が聞こえてくる。さすがにただ事じゃないと璃亜と一緒に人だかりに向かって行く。
そしてそこには、階段から落ちのか青学のメンバーに心配そうに声を掛けられている月城とその階段の上でなにやら喚いている天龍寺がいた。
しかも桃城と海堂が今にも天龍寺に殴り掛かりそうな雰囲気で空気がピリピリとしている。
「…わ、私はなにもしてないっ!」
「…嘘を付くな。真梨亜先輩がお前に突き落とされたって言ってるんだよ」
「嘘はいけねぇーよ、いけねぇな!」
「う、嘘じゃない!月城さんが勝手に落ちただけで、私はなにもっ…!」
「…み、みんな?私は大丈夫だよ?だから、そんなに天龍寺さんを責めないであげて?」
なんとなく状況が読めて来たぜよ。つまり、天龍寺に月城が階段から突き落とされたって騒いどるんか。
それで階段から落ちた月城の悲鳴で青学連中が来て、理由を聞いたら天龍寺に突き落とされたと。
んで、その天龍寺は落としてないと言っちょる訳か。じゃが、どう見ても天龍寺が突き落とした様にか思えん状況じゃき、さすがに誰も天龍寺のフォローに入らんかった。
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