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色々と言いたい事はあるが、多分ここであたしがなにか言っても火に油を注ぐだけだろうし。

だけど、天龍寺さんは納得してないみたいだし。て言うか、さっきから思ってたけど…お姫様ってなんだよ。マジで頭大丈夫かよ。


とりあえず、天龍寺さんの出方を伺っていると何故か天龍寺さんがうつ向く。



「…うっ…わ、私だって…」

「…………」

「…こんな事したくないんだよ?出来れば楠木さんとも仲良くしたい…」



え、えーと?
急にそんな態度を変えられても困るんですが。さっきまで引き立て役だの邪魔だの言ってたじゃねぇか。

故にそんな事を言われても信用出来る訳がない。

だけど、本気で泣いているのか天龍寺さんから嗚咽が聞こえてきてどうしたもんかと考える。と言うか、なんで泣くんだ。


そして暫くすると天龍寺さんが顔を上げる。目は、泣いたせいなのか僅かに赤い。



「…いたっ…う、ぅ」

「なに?」

「コ、コンタクトがっ…」



かと思えば目が痛いとまたうつ向く。てか、コンタクトしてるのに泣くなよ。

ハァッ…と溜め息を吐きながらゆっくりと天龍寺さんに近付いて顔を上げさせる。

なんでこんな事になるかなぁ〜と思いながら片目を瞑りながらあたしをジッと見つめる天龍寺さんに目を見せる様に言うと何故かうつ向かれた。



「…な、なんでっ…私、楠木さんに…」

「とりあえず、いいから。見せてくれる?眼球傷付いたりしたら困るでしょ」

「………………」



まずは、天龍寺さんを落ち着かせなきゃ話にならないし。そんな事を思いながら、天龍寺さんが顔を上げるのを待つ。

そしてごめんなさい。と小さな声で言うとあたしの服を掴んで顔を上げた。


だけど、顔を上げた天龍寺さんはニヤリと笑うと掴んだ服を引っ張り、あたしがバランスを崩すのを待ってましたと言わんばかりにあたしの背中を押した。


その瞬間、あぁ〜まんまと騙されたと気付いたが時すでに遅し。これを狙ってたのと言わんばかりにあたしを崖へと突き落とした。



「ハッ、誰があんたなんかと仲良くするもんですか。あんたなんて死ねばいいのよ!」



そしてあたしは、崖を滑り落ちながら冷静にそこまでするのかとか考えてた。


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