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そして仁王は、そんなあたしを見るなり珍しく目を見開くとクツクツと笑い出した。



「お前さん、子供みたいじゃな」

「うっせ!いいから当ててみろし」

「別にそこまでして返して欲しい訳じゃないんじゃがの。なら左じゃ」

「はい、ハズレー!」

「ならそれはお前さんにやるぜよ」

「え、要らないんだけど」

「お前さんは髪が長いんじゃし、要らない事もないじゃろ。それに前にシュシュ無くしたって言ってたじゃろ」



よくもまぁそんな話を覚えてたな。まぁ、確かに髪は長いしお気に入りのシュシュは無くしましたけど。

だからって仁王のお古を貰う気にはならない訳で。いや、むしろ…髪の長さ的にお団子にでもしないと結果的に首に張り付くし、だけどお団子は時間掛かるからって最近はヘアクリップで適当にアップしてる。

まぁ、猫っ毛なせいでいつの間にかスルスル毛がすり抜けちゃって何回も止め直すんだけどね。



「てか、他にヘアゴムあんの?」

「そりゃあ予備くらい持っとる」

「うわぁ…なんかキモい」

「キモいとはなんじゃ。こんなに長い髪をそのままにしとったら真田に怒られるじゃろうが」

「いっその事、真田くんに切ってもらえば?バリカンとかで」

「真田に切られるくらいなら自分で切るぜよ。それにバリカンは嫌じゃ」

「全くワガママだなー」



いや、坊主の仁王とかキモいからあたし的にもやめて欲しいけどね。まぁ、怖いもの見たさはあるけども。

まぁ、そんな事はどうでもいいや。とりあえず、左手から仁王のヘアゴムを出して仁王向かって飛ばす。

それを難なくキャッチする仁王。
…うん、なんかムカつく。



「別に返さんでもいいぜよ?」

「いや、別に要らないし」

「全く可愛くないナリ」

「そりゃ、どうも」

「なら、お前さんに結ってもらおうかの」

「は?面倒臭いから却下」

「そう言いなさんな。ほれ、お前さんの好きに結ってくれて構わんよ」

「チッ…」

「これ、女の子が舌打ちするんじゃなか」



そしてあたしに背を向ける様にして座り直す仁王にイラッとしつつ、仁王の髪の毛に触る。

あれだ、やっぱり猫っ毛だ。
そして仁王は、将来薄毛になりそうだな。むしろ、禿げそうだとか思いながら適当に仁王の髪の毛を触っていると不意に仁王が寝転がり、頭を傾げる。



「なに、どうしたの」

「なんか眠くなってきたナリ」

「ハァッ!?なら部屋に戻れよ!」

「…嫌じゃ」

「駄々っ子か!」



そして急に眠くなったと言い出した仁王は、なにを思ったのかそのままモゾモゾとベッドに入ってくるとあたしの腰に腕を回すとおやすみナリ〜と目を閉じた。

そして散々出て行けと頭を叩いてもまるで聞く耳持たない仁王にさすがのあたしも諦めたのであった。





(ちょっと…あたしがベッド入れない)
(…ん、はよー入りんしゃい)
(いや、お前のせいだから)
(…璃亜は小さいの)
(いいから抱き付くな、離れろ)
(…嫌じゃ)
(なんなの?キャラどうした)
(…たまにいいじゃろ)
(は、はぁ…まぁ、いいや)
(なにもせんから安心していいぜよ)
(当たり前だ、死ね)
(酷いのぅ。まぁ、おやすみナリ)
(はいはい、おやすみ)

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