(3/4)
しかしマッチポイントになっても璃亜は、あのサーブを打つことはなく普通にサーブを打った。
「璃亜っ!な、なんでみんな止めないのよ!」
「むっ…早苗、来たか」
「幸村が言ったんじゃが…止められんかったんじゃ」
「すまないね」
「だからって!あんなに汗だくでっ…!」
凄い形相で羽川が駆け付けたが事情を話すと今にも泣き出しそうな顔をしながらコートに見つめた。
が、コートに目をやった瞬間に羽川の目が見開かれる。
その反応に俺達もコートに目をやると、そこには信じられない光景があった。
「お、おい…璃亜の奴、なんか雰囲気が変じゃねぇか?」
「…あれ?璃亜先輩、目瞑ってないッスか?」
「璃亜っ…!やめなさいよ!」
「早苗、あれがなにかわかるのか?」
「…バスケの世界ではオーラとかって言われたけど…。蓮二達が言っていた無我の境地っていうのと似ているけど…別物よ」
「…つまり?」
「…私にもよくわからないのよ。璃亜は、限界突破なんて言ってたけど…」
目を瞑って全く構えていないのにも関わらず、なんなく跡部のボールを返している璃亜に誰もが目を丸くした。
それもそうだ。
あの跡部のインサイトでの氷の世界すらなんなく返しているんじゃからな。
反応出来ないはずの死角に打ち込まれているのにダランとしたままの璃亜は、なんなくボールを返す。
跡部のマッチポイントのどのくらいラリーが続いたんじゃろうか未だにラリーをしている2人。
「ハァッ…ハァッ…」
「ハッ、やるじゃねぇの!」
「あぁっ!はぁっ!」
「ーーっ!?その技はっ!」
「…負けないっ…ょ…」
あれは、1度だけ跡部と打ち合ってた時に見せたスマッシュだった。
それを決めてコートに着地した璃亜だったが…そのままグラリと璃亜の体が傾いた。
そして今から間に合わないとわかっていても俺を始めとした立海のメンバーが一斉に璃亜に向かって走った。
「わんに任せれー」
「なっ…!?」
「縮地法か!」
「ほいさー、やー大丈夫やし?」
「………………」
「おいおい、しにはんじゃーさー」
平古場がグッタリとした璃亜を抱き抱えながらそんな事を言うが、そんなの関係ないといった感じで羽川が璃亜の元に行くとすぐに薬を取り出して口に放り込む。
そしていいから飲めと言わんばかりに用意していた水を口に流し込む。
が、なかなか璃亜が飲まないせいで平古場がびょしょびしょになった。
prev|
next