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そして結局…と言うか、普通に考えて当たり前なんだけど、1ポイントも取れずに負けました。
いや、ホント上手いや。
あたしは、すぐに見様見真似で出来るけど…やっぱりパワーとかその他もろもろが足りないから結局、みんなの技を真似出来ても所詮はただの真似事で全く意味がない。
「やったッス!」
「あぁ…もうっ!悔しい!」
「てか、璃亜先輩と打ってると色んな人と打ってるみたいで、仁王先輩みたいッス!」
「いやいや…それはないよ。仁王は本人に成り代わってるみたいじゃん。あたしのは、所詮真似事だし」
「でも仁王先輩って俺等と打つ時、あんまりイリュージョンで使ってくれないし。だから璃亜先輩と打つと楽しいッス!」
へへっ!と笑いながらありがとうございました!とあたしに手を差し出す切原くんの手を握る。
なんて言うか、そんな事を言われて素直に嬉しいとか思ってるあたしは、テニス部にかなり毒されている様だ。
そして多少、乱れた呼吸を整えていると頭をわしゃわしゃと撫でられた。
はぁ…とため息を吐きつつ振り向くと安定の仁王がいた。
「のぅ、まだ動けそうか?」
「は?別に動けない事はないけど」
「なら、1ゲームだけじゃがダブルスせんか?」
「仁王先輩ナイスッス!じゃあ璃亜先輩は俺と〜」
「いや、赤也は俺とだぜい?」
「えぇ…マジでやんの?あたし、足引っ張るの嫌なんだけど」
「大丈夫じゃ、ちゃんとフォローするぜよ」
そしてホントにダブルスをする事になった。いや、まだ限界まで来てないから…体調は心配ないけどさ。
あからさまに、負けるじゃん。
いや、まぁ…全力で頑張るけどさ。
しかも仁王が軽くやるだけじゃから、いつも通りにやりんしゃい。とかなんとか言ってたけど、軽くとか無理だし。
やるなら勝ちたいもん。
「いくッスよー!」
「掛かってきんしゃい」
「璃亜、俺様の妙技をちゃんと見てろい」
「はいはい、見てる見てる」
「……っ!?はっ?仁王先輩…なにして!?」
「"切原くん、ボーッとしてる暇ないっしょ!ほら、レーザービーム!"」
えっ?なに?
背後からあたしの真横を通ってレーザービームが突き刺さる。
だけど、そこじゃない…
ゆっくりと振り向くと何故かあたしがいた。よくわからないけどなんだかムカつくドヤ顔したあたしがいた。
「仁王?まさか…あんた」
「璃亜先輩が2人とかなにそれ、天国じゃないッスか!」
「いや、片方は仁王だろい」
どうやら、仁王があたしにイリュージョンしたらしい。理由は、わからないけど…ぎこちない動きとかまであたしそっくりでムカつく反面、なんだかんだちゃんと動けてたんだなって思った。
(ふぅ…璃亜のイリュージョンは疲れるナリ)
(まず、性別違うしな)
(でもこれでわかっただろ?)
(ハァッハァッ…え、なにが?)
(璃亜は、凄く上手くなったよ)
(ハハッ、幸村くんに言われると微妙…)
(ふふっ、まだ俺達には勝てないけどね)
(そんなのわかってますー)
(早くちゃんと試合がしたいッスね!)
(わかってる…頑張るよ)
(でも無理はいけませんよ)
(うん、無理はしないよー)
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