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ドアを開けたのは、綺麗と言うよりは可愛らしい顔をした丸井似の女性。まぁ、普通に考えて丸井のお母さんだろう。

そしてあたしを見るなり目を丸くする丸井母にゆっくりと頭を下げて、お邪魔していますと控えめに挨拶をする。

いや、だって…頼りの丸井は着替えに行ってていないし。



「お母さんおかえりなさーい!」
「なさーい!」

「た、ただいま。えと、どちら様かしら?」

「お姉ちゃんは、ブンちゃんの彼女だよ!」
「ブンちゃんのくせに彼女だよ!」

「え、ちょ…!か、彼女!?」



いやいやいや!彼女じゃないです!と言おうとした瞬間にタイミング良く頭をタオルで拭きながら丸井が登場。

お前、もっと早く来いよ!

色々と誤解されて困っとるんじゃ!



「うおっ!?帰ったのかよい!」

「えぇ、ただいま。で、この子があんたの彼女ってホントなの?」

「か、彼女!?ち、ちちち違うけど違わないぜい!」

「よくわからないけど…風真と史矢の面倒をみてくれたみたいでありがとうね?」

「あ、いえ…全然」



なんか丸井に似るけど随分と雰囲気と言うか…性格が全然違うせいか、変に緊張する。

多分、丸井は顔はお母さん似で性格はお父さん似なんだとみた。

とりあえず、訳わからん事を言ってるが丸井も戻ってきたし、ふうくんとふみくんの髪の毛も乾いたからそろそろ帰ろう。



「じゃあ、あたしはそろそろ帰りますね?」

「えぇ…お姉ちゃん帰っちゃうの?」

「うん、ごめんね?また今度遊ぼっか」

「うん!また来てね?」

「あら、残念ね。でも明日も学校だから仕方ないわね。ほら、ブン太ちゃんと送ってあげなさい」

「あ、いえ…お構い無く」



しかしあたしの言葉を無視してあたしの腕を引く丸井にビックリしつつ、もう一度丸井母に頭を下げてリビングを後にした。

そして有無を言わずに外に連れて来られた訳だけど…



「腕痛いんだけど」

「あっ!わ、わりぃ」

「いや、いいけど。はぁ…もうお母さん早く帰って来るなら言っといてよね。無駄に緊張した」

「いや、俺もビックリしたぜい…」

「ま、とりあえず任務完了って事でいいよね。あと送らなくていいから、じゃあね〜」

「おい、待てよい!普通にあぶねぇし…送らせろい」

「……………まっ、いっか」

「なんだよい…今の間」

「別にー」



とりあえず、別にひとりで帰ってもよかったんだけど、余りにも丸井の目が真剣だったから、今日だけは素直に甘えておいた。






(なぁ、いい加減名前で呼べよい)
(はぁ?なんで)
(ふうとふみも丸井だしややこしいだろい)
(うーん…まぁ、一理あるな)
(だろい!?)
(でもなぁ〜丸井だしなぁ〜)
(いいだろい!)
(あーうるさいうるさい。わかったよ)
(マジかよい!?)
(あぁ〜、ブタでオッケ?)
(ブン太だよい!怒るぞ!)
(はいはい、ブン太ね。わかったわかった)

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