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そして放課後になり案の定と言うか…なんと言うか…中庭の影でコソコソとこっちを見ているテニス部レギュラーと早苗に頭が痛くなる。

むしろ、呼び出した子の気持ちは無視か。さすがに聞かれたくないだろ、普通に考えて…

いや、まぁ…あの人達に今更何を言っても無駄だけど。


そして暫く待っていると走ってこちらに向かってくる一人の男の子が目に入る。

その男の子は、あたしを見付けると更に走るスピードを早めてあたしの目の前に来ると膝に手を付いて肩を上下させた。



「お、俺から呼び出しといて待たせてごめん!」

「あ、いや…別にあたしは気にしてないよ」

「ありがとう。楠木さんならそう言ってくれると思ってたよ!」

「あ、うん。えと、鈴木くんだっけ?」

「あ、俺の名前覚えててくれたんだ。なんか嬉しいなぁ…」



いや、まぁ…一応ね。
前に同じクラスになった事があったし。えと、確か…野球部だったかな?

うーん…まぁ、とりあえず運動部だった気がする。

多分、そんなに話した事はないと思うんだけど。なんでまたあたしなんかを呼び出したんでしょうか。

いや…まぁ、うん。
わかってるけどさ…



「それでね、急にこんな事言われても困るかも知れないんだけど…中等部の時からずっと好きだったんだ。誰にでも優しくて、笑うと可愛いし…」

「………………」

「それに!楠木さんは覚えてないかもしれないけど…野球で失敗続きで落ち込んでる時に頑張れって声掛けてくれて…凄い励みになってさ」

「………………」

「それで楠木さんは、きっとお前の事よく知らねぇし!って言うと思うから…付き合ってくれとは言わないんで、友達から仲良くして下さい」



お、おぉ…なんか凄い告白をされた気がする。シンプルな好きですとかじゃない辺りが、余計に恥ずかしいんだけど。

てか、あたし励ましたりしたっけ?まぁ、元気がなかった人に声は掛けたりしてたけど…そんな些細な一言でこんな風に想われるとは…

しかもなんかあたしの性格をよく理解してる様だし。まぁ、完全に断る気だったしね。


そして控え気味に手を差し出して顔を赤くしてぎこちなく笑う鈴木くんがなんとも健気で、とりあえず手を取った。



「まぁ、友達なら全然いいよ」



その言葉に鈴木くんの顔がパァッと明るくなったかと思うと握手をした手を見つめると今度は、茹タコの様に顔を真っ赤にしてわたわたし始めてちょっと笑った。


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