眠り姫の災難 (1/4)
相変わらず、毎日懲りずに絡んでくる赤髪にさすがに慣れてきた今日この頃。
「楠木〜お菓子くれい」
「は?ないっつーの」
「お前、お菓子とか食わないのかよぃ?」
「いや、食べるけど」
「ふーん、例えば?」
「なんでそんな事聞くんだし」
まぁ、だいたいがお菓子の事なので慣れてきた訳だが。
生憎、そこまで食に執着がある方じゃないから別にこれと言って好きなお菓子とはない。
と言うか、食べるより作る方が好きなのが事実である。
「べっつに?お前の好きなお菓子が手に入ったら分けてやってもいいかなーって思っただけだぜぃ」
「え、要らないけど」
「なんでだよぃ!?」
「あたし食べるより作る方が好きだし」
「なっ…それマジかよ!なら今度俺になんか作っ」
「丁重にお断りします」
なんでだよ!とやかましく隣で騒ぐ赤髪にさすがにうんざりして来たあたしは、ゆっくりと立ち上がり委員会の仕事をしている早苗の元へ向かう。
ちなみに隣の柳くんも一緒にやってる様で二人でプリントを捌いている。
「隣の赤髪がうるさい」
「あら、璃亜もなかなかうるさいから人の事言えないじゃない」
「ちょ、酷い」
「て言うか、璃亜が適当にあしらうからでしょ。話くらいしてあげなさいよ」
「え、面倒臭い。あいつお菓子の話しかしないし」
適当に近くの椅子を引っ張ってきて早苗の近くに座ると早苗が溜め息を吐きながらシャーペンを置いた。
ちなみに柳くんも何故か手を止めてあたしを見ている。ん、いや…こっち見てるのかな?目開いてるのかわからない。
「楠木ーっ!頼むぜー!作ってくれぃ」
「あーまた来たよ」
「むしろ、あんなでかい声で頼まれて断った方が後々面倒臭くなるんじゃない?」
「どっちにしろ面倒臭くなるでしょーよ。ならやだよ」
「楠木も羽川も色々考えているのだな。特に楠木がそんな事を考えているとは」
うわっ!なにいきなり…
急に柳くんが口を開き咄嗟に柳くんを見れば相変わらずの無表情。あ、いや…無表情じゃないのかもしれないが、あたしにはその変化がわからないので無表情にしか見えない訳で…
まぁ、いいや。
とりあえず、まぁね。と素っ気なく答えるとうむ。と頷くとまたプリントに視線を落とした。
うん、なんかよくわからんがあたしは柳くんにバカだと思われてるのか。いや、バカだけど。
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