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箱を開けた真田くんは、まじまじとロールケーキを見つめるとゆっくりと机に乗せた。
あれ、もしかしてロールケーキキライだったのかな。好き嫌いないとか言ってたけど実は、あったとか。
仮にそれがロールケーキだったとしたら凄いピンポイントで嫌なプレゼントしたな、あたし。
「うむ、実に美味そうだ!早速いただこう」
「どうぞどうぞー!あ、コーヒー買って来といたんだよね。はい」
「うむ、悪いな。では、楠木も一緒にどうだ?一緒に食べた方が美味いだろう」
「うーん…真田くんにってあげた物だからねぇ。でもじゃあ一口だけもらうよ」
とりあえず、真田くんに一口食べてもらってからあたしも一口だけもらった。
なんでか真田くんの顔が赤い気がしたけど、まぁ…プレゼントが嬉しかったんだろう。
そしてカバンから今度は、紙袋を取り出してロールケーキを丁寧に食べている真田くんの前に置いた。
「むっ、これはなんだ?」
「ケーキだけじゃなんか寂しいかなって思ってね。フェイスタオルなんだけど」
「そんなに気を使わなくても俺は、ケーキだけで十分だぞ?」
「うーん…柳くんから聞いたんだけどさ、真田くん1人でファンクラブの事とかで結構動いてくれてたんだってね?だから感謝も込めてさ」
「当たり前だ。お前達に危害を加える輩を野放しにしとく訳にはいかないからな」
当然の事をしたまでだ。とロールケーキを食べながら話しているせいで凄味はないけど、やっぱり真田くんは立海テニス部のお父さんだなーとか思った。
厳しいし、頭も堅いし、すっごい鬼みたいに怖いときもあるけど何よりもみんなの事を気にしてる。
柳くんの話だとファンクラブに単身で話をしに行ったりしてたらしいし。まぁ、大勢のファンクラブの人達に騒がれて話どころじゃなかったらしいけど。
「でも真田くんって女の子に強く言えないじゃん?それに苦手なんでしょ?なのに単身で話をしに行ったって聞いて、嬉しかったんだよね」
「むっ…そ、それは否定は出来んが…苦手なのは無意味に距離が近かったり必要以上にスキンシップをとる者という意味でな…」
「アハハッ、真田くんらしいや。まぁ、いいじゃん!フェイスタオルなら貰っても困らないでしょ?」
「ま、まぁ…それはそうだが…」
まぁ、結局のところ真田くんはちゃんとフェイスタオルを受け取ってくれた。しかも何気に気に入ってくれたらしくてよかったよかった。
ちなみに真田くんの好きな色は、グレーと黒だって柳くんから聞いていたのでグレーと黒の市松模様の物だったり。
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