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丸井と仁王がなにか騒いでいたが、とりあえずスルーして真田くんが待っているであろう部室に向かった。
ちなみに何故、部室かと言うとなんとなくである。強いて言えば、屋上や中庭だと仁王や切原くんが来る可能性が高いから部室にした程度である。
ゆっくりと部室のドアを開けると椅子に座り、メニューノートに目を通している真田くんがいた。
「ごめん、待った?」
「いや、さっき来たところだ」
「あ、ならよかった。うわ、なんか真田くんがサボってると考えると色々ヤバい」
「一緒にサボれと言ったのは、楠木だろう。それで理由はなんだ?」
「あーそうだそうだ。えと、んーと、ちょっと待ってね」
机にカバンを置いて中から箱を取り出す。もちろん、余り上手くはないが包装済みだ。
それを手に取り、とりあえず匂いを嗅ぐと甘い匂いがほのかに香る。
まぁ、真田くんなら受け取ってくれるだろう。ちょっと、不安になりつつもゆっくりと椅子に座って腕組をしている真田くんの前に行って箱を差し出す。
「真田くん誕生日おめでとう!今日なんだよね?」
「う、うむ。だが、なぜそれを楠木が知っているんだ?」
「そりゃあ、もちろん柳くんから聞いたからだよ。これプレゼントなんだけど受け取ってくれるかな」
「も、もちろんだ!すまないな…なにか気を使わせてしまった様で」
「ハハッ、なに言ってんの?友達の誕生日なんだから祝うでしょうよ」
何故か祝いの言葉を言ったのにも関わらず、すまなげな顔をする真田くんに少しだけ笑いが漏れる。
いや、まぁ…真田くんは真面目だしねー。誕生日プレゼントとか催促する様な丸井とは違うから仕方ないね。
それに丸井やジローちゃんにプレゼントあげたのに真田くんだけあげないとか有り得ないし。
「匂い的にお菓子かなにかか?」
「まぁ、そんなところ!でも真田くんの好物とか知らなかったから無難なロールケーキにしたんだ」
「うむ、しかし俺に好き嫌いはない。有り難くいただこう」
「そんな気はした!でも甘いのは微妙かなー?と思って一応甘さ控えめにしたんだけど」
「いや、貰えただけで嬉しいぞ。開けて構わないか?」
「どーぞどーぞ。むしろ、悪くなっちゃうから早めに食べてくれると嬉しいかな」
その言葉にゆっくりと真田くんが頷き、箱を開けた。
そして部室に広がる甘い匂いに作ってきた本人であるあたしの方がお腹空いてきた。
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