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それにしても、変な女じゃ。いくらなんでも赤也にここまで懐かれて嬉しそうな素振りを全く見せない女はそういないはずじゃ。

しかも赤也は、特に年上に人気があるはず。それに赤也が懐くのもまずない事じゃし、普通の奴なら泣いて喜ぶレベルなんじゃがのぅ。



「それに楠木先輩って結構、優しいんスよ!口悪いッスけど…」

「ひじき頭かの?」

「今は、呼ばれてないッスよ!確か、仁王先輩は銀髪って言われてるッスよね」

「プリッ」

「先輩達、仲悪いんスか?」



仲悪いって言うかなんと言うか。てか、なんでそんな事を聞くんじゃ。

銀髪って呼ばれてる時点で仲が良い訳がないじゃろうが。俺なんてまともに名前すら知らんぜよ。

ブンちゃんや赤也がよく呼んでるせいで名字だけは覚えてるがの。



「仲が良いと思うんか?」

「丸井先輩は、仲良くしたいって言ってたッスよ?」

「ブンちゃんは、お菓子が貰いたいだけじゃろ」

「あ〜そうかもしれないッスね。でも仁王先輩が思ってる程、嫌なやつじゃないッスよ?」

「例え嫌なやつじゃないとしても、仲良くする気はないぜよ」



と言うよりも女と仲良くする気なんか起きる訳がないぜよ。

むしろ、赤也もブンちゃんも素直過ぎなんじゃ。だから俺が奴の化けの皮をいずれ剥がしてやる。

他の男になら何をしても気にならないが、テニス部…俺の知り合いに手を出すのは許さん。



「まぁ、仁王先輩のタイプじゃなさそうッスもんね」

「そういう事じゃないじゃろ」

「え、でも仁王先輩ってなんかケバケバした女の人好きじゃないッスか」

「女は、嫌いじゃ」

「え、仁王先輩…まさか…」

「変な誤解をしなさんな」



さすがにそんな趣味はない。
ただ、女が嫌いなだけであって男が好きとかそういったことはない。

ですよね〜なんて言いつつもホッとした様子の赤也に少しだけイラッとして首元にまだ開けてない缶を入れてやった。



「ギャーッ!?つ、つめたっ!殺す気ッスか!?」

「いやぁ〜なんかムカついてのぅ。なんなら中身を流し込んでやってもよかったんじゃが」

「なんでそうなるんスか!?」

「まぁ、お前を始めみんな楽観的過ぎなんじゃよ」

「なんだかんだ言って仁王先輩って優しいッスよね!」

「…ピヨ」



赤也は、ニシシッと笑いながら背中からジュースを取り出し床に置くと寝るつもりなのかそのまま寝転ぶとゆっくりと目を瞑った。


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