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暫く沈黙が続き、赤也とブンちゃんの鼻を啜る音と羽川の嗚咽だけが部屋に響いた。

しかし、その沈黙をまさかの人物が破った。

ガチャリという音と共に体を引き摺るようにして璃亜がリビングに入って来たのだ。



「ハハッ…うわぁお…みんなお揃いで」

「…璃亜っ!バカじゃないの!バカっ!本当にバカっ…」

「…バカバカって…失礼だなぁ。でも早苗が無事ならよかった…」

「…良くない!いい加減にしなさいよっ!あんたにとって私はなに?みんなはなんなの?なんでも一人で背負い込んで…もう、やめてよっ…」

「…ごめん。でも…」

「でもじゃないっ…!みんなだって…あんたの為に…本当にっ…ば、かっ…」



璃亜に飛び付く様に説教を始めたかと思ったら泣き崩れる羽川に璃亜が申し訳なさそうな顔をして羽川の頭を撫でるが羽川がそれを払い退ける。

それを俺等は、黙って見ていた。

そして手を払い退けられた事に驚いた顔をしている璃亜だったが、急に羽川が顔をあげたかと思ったら璃亜に思いっきりビンタをした。



「え、ちょっ…羽川さんっ!?」

「お、おい…やり過ぎだろい!?」

「切原くんや丸井くん達が出来ないから私がやるの。あんたのバカは直らないのは知ってる…だからこれで許してあげる。でも次は…ないからね」

「それでもやり過ぎだ…早苗」

「いや、参謀…正直俺も引っ叩いてやろうかと何度も思ったぜよ。いい加減にしろって」

「…あ、うん…ごめん」



羽川にビンタをされた璃亜は、パチクリとビックリした顔をしたかと思うと悲しそう謝った。

いつもの璃亜じゃ考えられないくらい弱々しい物言いに、赤也やブンちゃんが心配そうに様子を伺っている。

それに顔色もかなり悪い。今は、床に座り込んどるからまだ安心じゃが…

ゆっくりと立ち上がり、とりあえずこっちに来るようにと参謀と璃亜と羽川の元に行く。



「みんな迷惑掛けてごっ…いっ!」

「お前さん…それ以上、言ったら本気で引っ叩くぜよ」

「…仁王くんいっそのこと殴っていいわよ。少しは考えを改めるかもしれないわ」

「次、迷惑とか言った引っ叩くぜよ。誰もそんな事思っとらんからの」

「…え、あっ…はい」



相変わらず、なんで怒られてるんだろうみたいな顔をしている璃亜に少し呆れつつもみんなが待っているテーブルまで璃亜の腕を引いてやった。


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